緩ぶ(読み)ユルブ

デジタル大辞泉 「緩ぶ」の意味・読み・例文・類語

ゆる・ぶ【緩ぶ/×弛ぶ】

《「許す」と同語源。古くは「ゆるふ」》
[動バ四]
ゆるむ1」に同じ。
「箏の琴のいたう―・びたるを」〈狭衣・二〉
ゆるむ2」に同じ。
「心安き独り寝の床にて―・びにけりや」〈末摘花
ゆるむ3」に同じ。
「昼になりてぬるく―・びもていけば」〈・一〉
氷などがとける。
「うは氷あはに結べるひもなればかざす日かげに―・ぶばかりを」〈・九〇〉
おっとりしている。
「高き身となりても、ゆたかに―・べる方はおくれ」〈・若菜下〉
[動バ下二]
ゆるめる1」に同じ。
「梓弓引きみ―・へみ思ひ見てすでに心は寄りにしものを」〈・二九八六〉
ゆるめる2」に同じ。
「あまり無下にうち―・べ、見放ちたるも」〈帚木

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「緩ぶ」の意味・読み・例文・類語

ゆる・ぶ【緩・弛】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 バ四段活用 〙 ( 古くは「ゆるふ」。「ゆるす(許)」と同語源 )
    1. ゆるむ(緩)[ 一 ]
      1. [初出の実例]「みづかきの久しき時ゆ恋すれば吾が帯緩(ゆるふ)朝夕(よひ)ごとに」(出典万葉集(8C後)一三・三二六二)
      2. 「箏の琴のいたうゆるひたるを盤渉調にしらべて」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)二)
    2. ゆるむ(緩)[ 一 ]
      1. [初出の実例]「うは氷あはにむすべるひもなればかざす日かげにゆるふばかりを」(出典:枕草子(10C終)九〇)
    3. ゆるむ(緩)[ 一 ]
      1. [初出の実例]「昼になりてぬるくゆるひもて行けば、火をけの火も白き灰がちになりてわろし」(出典:枕草子(10C終)一)
    4. ゆるむ(緩)[ 一 ]
      1. [初出の実例]「こころには由流布(ユルフ)ことなく須加の山すかなくのみや恋ひわたりなむ」(出典:万葉集(8C後)一七・四〇一五)
    5. くつろぐ。ゆったりとした気持になる。うちとける。
      1. [初出の実例]「心やすきひとり寝の床にてゆるひにけりや」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
    6. 心にゆとりをもつ。寛大でおおらかな心を持つ。おっとりとする。
      1. [初出の実例]「高き身となりても、ゆたかにゆるへるかたはおくれ、急なる人は久しくつねならず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 バ下二段活用 〙ゆるべる(緩)

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