ちょう‐せき テウ‥【朝夕】
〘名〙
① 朝と
夕方。あさゆう。転じて、あけくれ。毎日。ふだん。副詞的にも用いる。
※
万葉(8C後)五・沈痾自哀文「竊以、朝夕佃
二食山野
一者、猶無
二灾害
一而得
レ度
レ世」
② (━する) 朝と夕方の
食事。朝食と
夕食。転じて、食事をとること。また、食事。
※発心集(1216頃か)二「この聖、更に自ら朝夕(テウセキ)のことを知らず」
③ (━する) 常々いっしょにいること。いつも接していること。
※蘭東事始(1815)上「
我輩、常に阿蘭陀人に朝夕してすら、容易に納得しがたし」
※
徒然草(1331頃)四九「今、火急の事ありて、既に朝夕に迫れり」
あさ‐ゆう ‥ゆふ【朝夕】
〘名〙
① 朝と
夕べ。朝晩。ちょうせき。また「毎日」「常に」などの意で副詞的にも用いる。
※宇津保(970‐999頃)国譲中「もろともにあさゆふわかずみそぎせしはやくのせぜに思ひでらるる」
※徒然草(1331頃)一四〇「朝夕なくてかなはざらん物こそあらめ」
※虎明本狂言・
連歌盗人(室町末‐近世初)「朝夕さへ成かぬるなりで、かやうに心がくる事」
ちょう‐じゃく テウ‥【朝夕】
〘名〙 (「じゃく」は「夕」の
呉音。古くは「ぢょうじゃく」とも)
※詩序集(1133頃)月前弾雅琴詩序〈藤原有業〉「藻思之客、朝二夕(シャク)吟詠之間一」
あした‐ゆうべ ‥ゆふべ【朝夕】
〘名〙 (古くは「あしたゆうへ」) 朝と夕方。朝晩。いつもいつも。
※万葉(8C後)一五・三七六七「魂は安之多由布敝(アシタユフヘ)にたまふれど吾が胸いたし恋の繁きに」
※
源氏(1001‐14頃)
蜻蛉「あしたゆふへに頼み聞えつるにこそ命も延び侍りつれ」
あさな‐ゆうな ‥ゆふな【朝夕】
〘副〙 朝に夕に。朝晩。いつも。
※万葉(8C後)一一・二七九八「伊勢の
白水郎(あま)の朝魚夕菜
(あさナゆふナ)に潜
(かづ)くといふ鰒
(あはび)の貝の
片思ひにして」
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デジタル大辞泉
「朝夕」の意味・読み・例文・類語
あさ‐ゆう〔‐ゆふ〕【朝夕】
1 朝と夕方。朝と晩。
2 (副詞的に用いて)いつも。常々。「朝夕通る道」「朝夕勉学にいそしむ」
3 《朝晩の食事の意から》暮らし。生計。
「―にせまり、かかる侘びしき営みを仕る」〈浄・出世景清〉
[補説]気象庁の天気予報等では、0時頃~9時頃と、15時頃~18時頃をさす。→朝晩
[類語]朝晩・朝夕・旦夕
ちょう‐せき〔テウ‐〕【朝夕】
1 朝と夕方。あさゆう。
2 (副詞的に用いて)朝から晩まで。毎日。いつも。
「―一所に生活していたのは、小六の十二三の時迄である」〈漱石・門〉
3 朝晩の食事。朝食と夕食。また、食事。
「我のみ酒臭き息を吐きても、与太郎へは―を欠かしめし事も多かりき」〈柳浪・黒蜥蜴〉
[類語]朝夕・朝晩・旦夕
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朝夕 (ちょうじゃく)
鎌倉幕府には朝夕雑色(ぞうしき)(昼夜雑色),室町幕府には公人(くにん)朝夕の職名があるが,これを略して単に朝夕ともいった。小舎人,小者,雑色などと同格の軽輩で,幕府に仕えて,文字どおり朝から夕まで,書状配達,的(まと)づくり,罪人糺問,道路の清掃などの雑務に携わったところからこの職名がおこった。朝夕の役目には,以上のような雑務のほかに,参内など将軍の外出に際して,将軍の車輿のそば近くに小用(尿)筒を持って参列するということがあった。江戸幕府も鎌倉・室町両幕府の故実にならって同様の役職を置いたが,その正式な名称を〈公人朝夕人〉という。公人朝夕人は同朋頭の支配に属し,土田氏一人のみの世襲の職となっていた。そしてその役目は,将軍上洛参内などのときに,小用筒を持って供奉することのみに限定されている。《土田家由緒書》は,土田氏の江戸幕府公人朝夕人としての歴史が,1603年(慶長8)の土田孫三郎に始まることを伝えている。
執筆者:佐藤 堅一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
普及版 字通
「朝夕」の読み・字形・画数・意味
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