デジタル大辞泉
「朝夕」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ちょう‐せきテウ‥【朝夕】
- 〘 名詞 〙
- ① 朝と夕方。あさゆう。転じて、あけくれ。毎日。ふだん。副詞的にも用いる。
- [初出の実例]「竊以、朝夕佃二食山野一者、猶無二灾害一而得レ度レ世」(出典:万葉集(8C後)五・沈痾自哀文)
- 「借(かす)人なければ万事当座買にして、朝夕を送れば」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)一)
- [その他の文献]〔詩経‐小雅・何艸不黄〕
- ② ( ━する ) 朝と夕方の食事。朝食と夕食。転じて、食事をとること。また、食事。
- [初出の実例]「この聖、更に自ら朝夕(テウセキ)のことを知らず」(出典:発心集(1216頃か)二)
- ③ ( ━する ) 常々いっしょにいること。いつも接していること。
- [初出の実例]「我輩、常に阿蘭陀人に朝夕してすら、容易に納得しがたし」(出典:蘭東事始(1815)上)
- ④ 時間的に、すぐ近くであるさま。間近。旦夕。
- [初出の実例]「今、火急の事ありて、既に朝夕に迫れり」(出典:徒然草(1331頃)四九)
- ⑤ ⇒ちょうじゃく(朝夕)
あさ‐ゆう‥ゆふ【朝夕】
- 〘 名詞 〙
- ① 朝と夕べ。朝晩。ちょうせき。また「毎日」「常に」などの意で副詞的にも用いる。
- [初出の実例]「もろともにあさゆふわかずみそぎせしはやくのせぜに思ひでらるる」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)
- 「朝夕なくてかなはざらん物こそあらめ」(出典:徒然草(1331頃)一四〇)
- ② 朝夕の炊煙、食事。渡世。経済。
- [初出の実例]「朝夕さへ成かぬるなりで、かやうに心がくる事」(出典:虎明本狂言・連歌盗人(室町末‐近世初))
ちょう‐じゃくテウ‥【朝夕】
- 〘 名詞 〙 ( 「じゃく」は「夕」の呉音。古くは「ぢょうじゃく」とも )
- ① 「くにんちょうじゃく(公人朝夕)」の略。〔文明本節用集(室町中)〕
- ② =ちょうせき(朝夕)
- [初出の実例]「藻思之客、朝二夕(シャク)吟詠之間一」(出典:詩序集(1133頃)月前弾雅琴詩序〈藤原有業〉)
あした‐ゆうべ‥ゆふべ【朝夕】
- 〘 名詞 〙 ( 古くは「あしたゆうへ」 ) 朝と夕方。朝晩。いつもいつも。
- [初出の実例]「魂は安之多由布敝(アシタユフヘ)にたまふれど吾が胸いたし恋の繁きに」(出典:万葉集(8C後)一五・三七六七)
- 「あしたゆふへに頼み聞えつるにこそ命も延び侍りつれ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蜻蛉)
あさな‐ゆうな‥ゆふな【朝夕】
- 〘 副詞 〙 朝に夕に。朝晩。いつも。
- [初出の実例]「伊勢の白水郎(あま)の朝魚夕菜(あさナゆふナ)に潜(かづ)くといふ鰒(あはび)の貝の片思ひにして」(出典:万葉集(8C後)一一・二七九八)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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朝夕 (ちょうじゃく)
鎌倉幕府には朝夕雑色(ぞうしき)(昼夜雑色),室町幕府には公人(くにん)朝夕の職名があるが,これを略して単に朝夕ともいった。小舎人,小者,雑色などと同格の軽輩で,幕府に仕えて,文字どおり朝から夕まで,書状配達,的(まと)づくり,罪人糺問,道路の清掃などの雑務に携わったところからこの職名がおこった。朝夕の役目には,以上のような雑務のほかに,参内など将軍の外出に際して,将軍の車輿のそば近くに小用(尿)筒を持って参列するということがあった。江戸幕府も鎌倉・室町両幕府の故実にならって同様の役職を置いたが,その正式な名称を〈公人朝夕人〉という。公人朝夕人は同朋頭の支配に属し,土田氏一人のみの世襲の職となっていた。そしてその役目は,将軍上洛参内などのときに,小用筒を持って供奉することのみに限定されている。《土田家由緒書》は,土田氏の江戸幕府公人朝夕人としての歴史が,1603年(慶長8)の土田孫三郎に始まることを伝えている。
執筆者:佐藤 堅一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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普及版 字通
「朝夕」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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