改訂新版 世界大百科事典 「繭糸繊度」の意味・わかりやすい解説
繭糸繊度 (けんしせんど)
size of cocoon filament
繭糸の太さをいう。単位はデニールdenier(略符号d)を用いる。繭糸の太さは繭層の外層部が最も太く,中層,内層の順に細くなるが,通常繭糸繊度はその平均値を示す。この値は一定量の繭を繰糸して得られる生糸糸長,生糸量,平均粒付数などから算出される。繭糸繊度は蚕品種,蚕期あるいは飼育条件などにより異なるが,現在一般に飼育されているカイコのつくる繭糸の太さは2.5~3.5dのものが多い。品種別にみると,日本種系のものは太めで,中国種系のものは細めである。蚕期別では,春蚕繭は太く,夏秋蚕繭は細い。カイコの作柄のよいものは太めで,不良な場合は細くなる傾向がある。繭糸繊度の細太は生糸の生産効率とかかわりがある。例えば,能率をあげるには繭糸繊度の太いものが有利であるが,生糸の繊度むらを大きくするので,生糸品質を重視する場合には3d以下のものが望ましいといわれている。
執筆者:小河原 貞二
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