ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウェルゲラン」の意味・わかりやすい解説
ウェルゲラン
Wergeland, Henrik Arnold
[没]1845.7.12. クリスチャニア(現オスロ)
ノルウェーの詩人。牧師の子に生れ大学では神学を学んだが,植物学,歴史,医学などに興味を寄せたり,けんかや恋愛にも情熱を燃やし,早くから若い世代の指導者になった。当時ノルウェーはようやく独立をかちとったが,久しいデンマークの統治で文化もデンマーク化していた。自国の文化をどのように育てるかで議論が沸騰したなかで,彼は詩人ウェルハーベンがデンマークとの協調を説いたのに対し,古代ノルウェーの偉大な伝統に立つ独自の文化を育てることを強調し,熱誠の論陣を張り,全国を講演して回って愛国精神の喚起と国民の啓蒙に努め,全国民の敬愛を受け,国民詩人と仰がれた。代表作『創造・人間・救世主』 Skabelsen,Mennesket og Messias (1830) は壮大な叙事詩で,人間の未来に対する明るい信念に貫かれている。ほかに『ヤン・ファン・ホイスムの花』 Jan van Huysums blomsterstykke (40) ,『ユダヤ人』Jøden (42) ,『英国人の水先案内人』 Den engelske lods (44) など。女流作家 C.コレットは妹。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報