繰糸(読み)ソウシ(英語表記)reeling
silk reeling

デジタル大辞泉 「繰糸」の意味・読み・例文・類語

そう‐し〔サウ‐〕【繰糸】

[名](スル)煮た繭から糸をとって生糸にすること。また、その作業。「繰糸工程」

くり‐いと【繰(り)糸】

繭から糸を繰ること。また、繰った糸。

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精選版 日本国語大辞典 「繰糸」の意味・読み・例文・類語

そう‐しサウ‥【繰糸】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 糸を繰ること。糸繰り。〔李白‐荊州歌〕
  3. ( 「繰糸(くりいと)」を音読みした語 ) 煮た繭から繭糸(けんし)を分け、この繭糸数本を合わせて一条の生糸として繰り取る作業をいう。

くり‐いと【繰糸】

  1. 〘 名詞 〙 繭から糸をたぐること。また、その糸。生糸。絹糸。〔養蚕須知(1794)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「繰糸」の意味・わかりやすい解説

繰糸 (そうし)
reeling
silk reeling

煮熟した繭から繭糸(けんし)を引き出し,それを数本合わせて集束し,一定の繊度の生糸を小枠に巻き取る作業の総称。繰糸の方法には時代による変遷がある。すなわち,古くは繰糸操作のすべてを人手によったといわれる手挽(てびき)法にはじまり,江戸時代の後期には,歯車を組み合わせた手回しの小枠回転装置,生糸を小枠に均一に巻き取るための山路型の絡交(らつこう)装置などを設けた座繰り器が考案された。この考案により片手で小枠を回し,一方の手で接緒(せつちよ)などを行えるようになった。これを座繰り法という。明治初期以降は小枠回転の動力水車を利用したり,さらには電動機を使用し,煮繭や繰糸の熱源ボイラーを設置して蒸気を使うことがはじまった。これを座繰(ざそう)法という。昭和の初期には接緒のための回転接緒器や,緒糸を機械的に引き出すための索緒機が考案された。この改良で両手で接緒を行うことができ,また作業者が受け持つことができる緒数が広がり,繰糸は立作業となった。これを多条繰糸法(立繰法)という。昭和30年代のはじめ,繰糸中の生糸の太さを自動的に検知する繊度感知器が発明され,これを契機として実用的な自動繰糸機が開発され,現在はさらに機能が改良された自動繰糸機となった。これを自動繰糸法という。

 自動繰糸法は次のように大別される。(1)正緒繭の生産 索抄緒機に煮熟繭と繰糸途中で繭糸が切断した繭が自動的に送り込まれる。索緒部では索緒体につけられた索緒ぼうきと繭が接触し,繭の表面から緒糸が引き出され,抄緒部では,緒糸が機械的にすぐられて個々の繭から1本の繭糸が引き出される。この繭のことを正緒繭という。(2)生糸の形成 繭糸なん本かを集束して1本の生糸糸条を形成し小枠に巻き取る機構の単位を繰糸緒という。標準型の自動繰糸機1セットは400の繰糸緒で構成され,繰糸緒の下部は繰糸槽で,その前部は給繭部となっている。各繰糸緒で生糸が形成されるしくみは,生産しようとする生糸の太さに見合った数の正緒繭を繰糸槽におき,その繭糸を合わせて集緒器を通し集束し,よりかけ部,定繊度感知器,さらに絡交装置を経て小枠にいたる。繭糸は小枠の回転による引っ張り張力によって繰解される。生糸が連続して繰糸されるには,繰り終わった繭や繰糸途中で繭糸が切断した繭の代りの正緒繭が補給されなければならない。定繊度感知器は繰糸中の生糸繊度が一定の太さより細くなるとそれを検知し,自動的に接緒桿(かん)の作動を機械的に指示する。接緒桿は給繭部に待機する正緒繭をとり出し,接緒するのでつねに目的とする繊度の生糸が繰糸される。(3)繭の移行 繰糸により消費される繭の補給は煮繭機から煮熟繭が新繭補充部に送られ,必要に応じ,新繭補充部から索抄緒部に繭が送り込まれる。索抄緒部で得られた正緒繭は給繭部に消費量に見合った量が移送される。一方,繰糸槽で繰り終わった繭(不時落繭(らつけん)という)は,落繭捕集装置により,落繭分離部に集められて索緒部に搬送ベルトで送り込まれ,自然落繭は水流または空気流により副産処理工程に搬送される。
製糸
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普及版 字通 「繰糸」の読み・字形・画数・意味

【繰糸】そう(さう)し

糸をくる。唐・李白〔州歌〕詩 州麥熟して(まゆ)、蛾をし 絲を繰りて君が頭(とうしよ)の多きを(おも)ふ

字通「繰」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「繰糸」の意味・わかりやすい解説

繰糸【そうし】

から繭糸を引き出し,数本を抱合して生糸にする操作。古くは手引きで行われ,江戸時代末期に座繰(ざぐり)が行われるようになった。今日では自動繰糸機で品質の統一された優良糸が大量に繰糸される。→製糸
→関連項目生糸玉糸玉繭

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「繰糸」の意味・わかりやすい解説

繰糸
そうし
silk reeling

煮熟した繭の正緒を求めて繭糸を離解し,この繭糸数本を合せて1条の生糸として繰取る作業。索緒,抄緒,集緒,接緒,より掛け,繰枠巻取り,乾燥の作業工程から成る。このうち接緒は繰糸作業の最も重要な操作で,座繰機械による普通繰糸法では作業者が指頭で投付法または巻付法によって1分間 15~25回接緒し,多条繰糸法では通常回転式接緒器を用いて1分間に片手で 20回以上,両手で 35回ぐらい接緒できる。自動繰糸機では繰糸作業の大部分が自動的に行われ,作業者は給繭装置への繭の補給,繰枠の故障の修理,繭の粒付けの補正などを行う程度である。

繰糸
くりいと
reeling

繭から生糸をつくること。繭を煮てセリシンを軟化溶解させ,繭糸を取出しやすい状態にしてから,糸口を求め,数粒の繭の糸を合せて集緒器を通し,抱合して1本の糸にする。手動の座繰など原始的,手作業的な方法による繰糸 (そうし) の呼称で,機械類の発達とともにすたれてきている。

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世界大百科事典(旧版)内の繰糸の言及

【製糸】より

…繭から生糸を作る諸工程の総称。広義では玉糸や野蚕(やさん)糸を作ることを含めることがあるが,一般にはカイコの作る繭を原料として生糸を作るための,生繭(なままゆ)の乾燥(乾繭(かんけん)),貯繭,原料調整,煮繭,繰糸(そうし)および揚返し,仕上げなどの一連の工程をいう。(1)乾繭 生繭を乾燥するのは,殺蛹(さつよう)して発蛾(はつが)を防ぎ,長期間貯蔵しても,カビが発生しないようにすることを目的としている。…

※「繰糸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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