日本大百科全書(ニッポニカ) 「耐熱食器」の意味・わかりやすい解説
耐熱食器
たいねつしょっき
オーブン料理や直火での調理にも使用できる、耐熱性のある食器。ガラス製と磁器製があり、パイレックス、パイロセラムなどで知られるガラス製のものは、アメリカのコーニング社の開発によるものである。
ガラス製にはホウケイ酸ガラスを原料にした耐熱ガラスと、ガラスセラミックス(ケイ酸系ガラスに結晶核として酸化ジルコンや酸化チタンなどを加え、高温で溶融、結晶化させたもの)を原料にした超耐熱ガラスがある。これらは熱による膨張の度合いが小さく、急熱・急冷しても破損しにくいが、その程度には限界がある。家庭用品品質表示法では、名称や用途を耐熱温度差(一定の温度で加熱後、冷水で急冷しても破損しない場合の加熱と冷水の温度差)により区分しているが、耐熱温度差が120℃以上400℃未満のものを耐熱ガラス、耐熱温度差が400℃以上のものを超耐熱ガラスという。また耐熱ガラスは、耐熱温度差が120℃以上のオーブン、電子レンジなどに使える天火用と、耐熱温度差が150℃以上の直接火にかけて使える直火用とがある。耐熱ガラスを強化した強化耐熱ガラスもあるが、これは天火用で、直火には使用できない。
一方、耐熱性のある磁器には従来からグラタン皿、コキール皿、キャセロールなどがある。本体の生地(きじ)とうわぐすりの膨張係数が異なると、高温で破損するおそれがあるため、底にうわぐすりを施さずに焼いたものが多い。
[正木英子]