聞こえ遣る(読み)キコエヤル

デジタル大辞泉 「聞こえ遣る」の意味・読み・例文・類語

きこえ‐や・る【聞こえ遣る】

[動ラ四]言い遣る」の謙譲語
手紙伝言などをお伝え申し上げる。
姨捨山の月にはあらぬわが心も―・らむ方なくて」〈狭衣・四〉
(多く打消しの形で用いる)言うべきことを最後まで申し上げる。
「いとあはれとものを思ひみながら、言にいでても―・らず」〈桐壺

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「聞こえ遣る」の意味・読み・例文・類語

きこえ‐や・る【聞遣】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 ( 「いいやる(言遣)」の謙譲語 )
  2. 申しあげたいことや、申しあげるべきことをすっかり申しあげる。残りなく申しあげる。下に否定表現を伴うことが多い。
    1. [初出の実例]「うつくしげなる人の、いたうおもやせて、〈略〉言(こと)にいでてもきこえやらず」(出典源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  3. 納得のいくように、十分ご説明申しあげる。
    1. [初出の実例]「宮の渡らせ給はんには、いかさまにかきこえやらん」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
  4. 言葉消息を先方にお伝え申しあげる。
    1. [初出の実例]「今はかくあさましき夢の世を、少しも思ひさますをりあらばなん、絶えぬ御とぶらひもきこえやるべき」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕霧)

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