職業性鼻アレルギー(読み)しょくぎょうせいびアレルギー(その他表記)Occupational rhinitis

六訂版 家庭医学大全科 「職業性鼻アレルギー」の解説

職業性鼻アレルギー
しょくぎょうせいびアレルギー
Occupational rhinitis
(アレルギー疾患)

原因は何か

 基本的には一般の鼻アレルギーと差はみられません。抗原の種類や量によってその頻度はさまざまですが、同じ職場環境での発症は数%~十数%程度との報告が多くみられます。成人では約24%に気管支喘息(ぜんそく)を合併し、職業性鼻アレルギーの約40%に眼アレルギーを合併するといわれています。

 職業性アレルゲンの種類は多く、植物性、動物性粉塵(ふんじん)薬物、化学物質および花粉胞子などが多く認められます。なかでもビニールハウス内での野菜・果樹の栽培者や、果樹の人工交配の作業者には鼻アレルギーが目立ちます。

症状の現れ方

 くしゃみ、水様鼻汁、鼻閉が3主徴です。喘息の場合と同様で、職場集積性があり、作業との因果関係が認められます。就業から発病までの感作(かんさ)期間は抗原の量、質、アトピー素因などが関連します(米スギなどでは3年2カ月と報告されている)。刺激物質であれば、就業当初から症状が現れることもあります。

検査と診断

 職場での環境が重要で、さらに鼻鏡所見、鼻汁中の好酸球(こうさんきゅう)の存在、皮膚テスト、特異IgE抗体が陽性になること、鼻誘発試験などで診断を確定します。

 診断基準として、①くしゃみ、鼻水、鼻づまりの3主要鼻症状があり、それに眼・皮膚・下気道症状が合併することが多い。②この症状は作業と因果関係がある。③職場集積性がある。④発症までに感作期間がある。⑤アレルギー素因が感作に関係する。⑥アレルギー症状だけでなく、鼻鏡所見、鼻汁好酸球検査、職場抗原抽出物による皮膚テスト、誘発テストが陽性であり、血清抗体が証明できる。

などがあげられています。

治療と予防

 対象療法として抗ヒスタミン薬、吸入ステロイド薬が用いられます。また、抗アレルギー薬も有用です。抗原が明確な場合ではアレルゲン免疫療法(減感作療法)も有効性が高く、予防に関しては喘息とほぼ同じです。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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