日本大百科全書(ニッポニカ) 「くしゃみ」の意味・わかりやすい解説
くしゃみ
鼻疾患の一般症状の一つで、鼻粘膜の分泌過多を訴えるアレルギー性鼻炎にしばしばおこるが、寒気、悪臭、異物などの刺激によっても、反射的におこることはよく経験される。アレルギー性鼻炎は、たび重なっておこるくしゃみ発作、多量の鼻水、鼻閉塞(へいそく)を主要な症状とし、鼻粘膜の浮腫(ふしゅ)と白血球成分の好酸球の浸潤が著明である。アレルギー性鼻炎とは、花粉、塵埃(じんあい)、牛乳、鶏卵、薬品、化粧品などの抗原によっておこる前述のような症状を意味するが、抗原が判明しないときには血管運動性鼻炎とよんだり、あるいは両者を一括して鼻過敏症とよぶこともある。生理的に、くしゃみは、鼻粘膜の三叉(さんさ)神経枝の刺激によって反射的におこるものと考えられている。また、強い光による突然の刺激で涙の分泌がおこり、これが涙管から鼻腔(びくう)に入ってくしゃみが出ることも知られている。
[渡辺 裕]