胴抜(読み)どうぬき

精選版 日本国語大辞典 「胴抜」の意味・読み・例文・類語

どう‐ぬき【胴抜】

  1. 〘 名詞 〙 下着などで、袖口(そでぐち)や裾(すそ)部分を胴の部分と違う別の色の布で仕立てること。また、その衣服額仕立(がくじたて)
    1. [初出の実例]「下着は藤鼠の氷梅の中がた、縮(ちり)めんを回りへ付し継々(はぎはぎ)の胴(ドウ)ぬき」(出典人情本春告鳥(1836‐37)三)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「胴抜」の意味・わかりやすい解説

胴抜
どうぬき

襲(かさね)下着や長襦袢(ながじゅばん)などで、胴の部分と、袖(そで)、衿(えり)、裾(すそ)回りとを異質、異色の布地を用いて仕立てたもの。この仕立てを胴抜仕立て、額(がく)仕立てという。下着を華美にするために、周りに縞(しま)や小紋を、胴に緋(ひ)や紫の絞りを用いたりする場合と、節約のために裂端(きれはし)を用いる場合とがある。着たときにみえやすい衿、立褄(たてづま)、裾、袖口、振りに、生地(きじ)、柄(がら)ともによい布地を用い、みえない胴の部分に別布を用いるなど、生活の知恵が感じられる。江戸時代の遊女はこの仕立て方による着物を打掛の下に着用し、また普段着としても用いた。胴抜の襲下着のことを回り下着、ぐるり下着ともいい、周囲を無垢(むく)に仕立てたものを回り無垢、額無垢という。

[藤本やす]

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