精選版 日本国語大辞典 「胸当」の意味・読み・例文・類語
むね‐あて【胸当】
- 〘 名詞 〙
- ① 胸部にあてる鎧(よろい)。胸甲。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ② 火事装束の一つ。背の裂けた羽織を着用する者が、これを用いる。火事羽織と同物同色同製で、両辺の紐に玉をつけ、帯にはさむ。
- [初出の実例]「胸当は専ら火事羽折と同物同色同製也。〈略〉武家は胸当のみ地緋羅紗を以て製すもあり」(出典:随筆・守貞漫稿(1837‐53)一三)
- ③ ( ②から転じて ) 旅をする際に旅人や飛脚などが用いた日よけのために胸にあてる布製のもの。
- [初出の実例]「馬子は寝覚の里の朝をき 脇母子が胸あてといて新枕」(出典:俳諧・西鶴大句数(1677)六)
- ④ 食事のとき、衣服をよごさないように胸やひざをおおう布。ナプキン。
- [初出の実例]「夫れは胸当(ムネアテ)で御座いますから御持帰りになっては困ります」(出典:明治浮世風呂(1887)〈浮世粋史〉一五)
- ⑤ 推量すること。
- [初出の実例]「思ひの外胸(ムネ)あてのちがい」(出典:浮世草子・新色五巻書(1698)二)