馬子(読み)マゴ

デジタル大辞泉 「馬子」の意味・読み・例文・類語

ま‐ご【馬子】

馬をひいて人や荷物を運ぶことを職業とした人。うまかた。うまおい。
[類語]御者別当馬丁馬方口取り

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精選版 日本国語大辞典 「馬子」の意味・読み・例文・類語

ま‐ご【馬子】

  1. 〘 名詞 〙 駄馬を引いて人や荷物を運ぶのを業とする人。馬方。
    1. [初出の実例]「所郡司、軍毅鎮兵、馬子、合八千一百八十人」(出典続日本紀‐天平宝字三年(759)九月己丑)
    2. 馬子〈拾遺都名所図会〉
      馬子〈拾遺都名所図会〉

うま‐こ【馬子】

  1. 〘 名詞 〙 うまかた。まご。
    1. [初出の実例]「何といふ、馬子(ムマコ)(たち)、ぐそくがかけるといふか」(出典:狂言記見物左衛門(1700))

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改訂新版 世界大百科事典 「馬子」の意味・わかりやすい解説

馬子 (まご)

馬を使って人や物資を運ぶことを業とするもの。馬追い,馬方などとも言う。馬背によるもので,馬車を扱うものは〈御者〉と呼んで区別する。古代・中世においては馬子を専業とするものはまれで,農民が行うことがほとんどであった。専業者の活動が盛んになるのは中世後期で,近江や大和などの馬借(ばしやく)と呼ばれるものである。近世に入っても,江戸幕府が車両の使用を禁止したため馬車は使用されず,専門の馬背輸送業者が各地に出現した。東海道や中山道などの主要街道で旅人用の乗用馬をひくものから,脇街道でもっぱら物資輸送に従うものまで,その形態は多様である。会津西街道の中付駑者(なかつけどちや),信州伊那地方の中馬(ちゆうま),甲斐九一色郷(くいつしきごう)の馬稼ぎなどは後者の代表例であった。乗用馬は馬子1人が1頭をひいたが,物資輸送の場合は一度に数頭を追った。これは輸送効率を高めるためで,たとえば中馬は〈一綱四頭〉と言われ,馬子1人が4頭を追った。
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普及版 字通 「馬子」の読み・字形・画数・意味

【馬子】まし

便器おまる。〔雲麓漫鈔、四〕李廣~臥虎を見て之れを射、~銅を鑄て其の形に象り、溲(しうき)と爲して之れを厭辱(えふじよく)することを示す。故に人、溷(こんき)を目(なづ)けて虎子と爲す。~、虎をみ改めて馬と爲す。今人の廁馬子(しばし)と云ふ、是れなり。

字通「馬」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「馬子」の意味・わかりやすい解説

馬子
まご

荷物や人を運ぶ馬の口をとることを職業とする者。古く駅伝制度のもとでは農民が夫役 (ぶやく) で駅馬の馬子をつとめたが,鎌倉時代以降次第に専業の交通労働者としての馬子が現れ,馬借 (ばしゃく) といわれて,年貢や商品の運搬にあたった。江戸時代には,伝馬助郷などの課役をはじめ,乗用馬の口をとる馬方が多かった。馬子の労働歌馬子歌である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「馬子」の意味・わかりやすい解説

馬子
まご

駄馬や伝馬(てんま)を引いて荷物や人を運ぶ職業の者。律令(りつりょう)制によりできた駅制の駅馬の馬子は、賦役に徴用された公民であったが、しだいに馬借(ばしゃく)とよばれる馬子が現れ、商品流通の発達した室町時代の主要街道で完全に職業化した。江戸時代になると、馬子は馬追い、馬方(うまかた)、馬曳(うまひ)きなどともよばれ、数も仕事も増えたが、旅人を恐喝し金品を巻き上げるなどの事件も増えた。なお、馬子が道中に歌った馬子唄(まごうた)には、いまも残るよい唄がある。

[深作光貞]


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