脱窒現象(読み)だっちつげんしょう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

土壌中に存在する化合態の窒素が窒素ガスに還元され空中に放散する現象をいう。水田でとくに問題となる窒素の損失過程で、畑土壌では流亡が主で脱窒は少ない。これは、畑状態では通気性がよいため硝酸態窒素として安定して存在できるのに対し、水田状態では、作土の表面の酸化層でできた硝酸態窒素は田面水の浸透によって下層の還元層に移行し、そこで脱窒菌の働きによって窒素ガスに還元され気泡となって大気中に飛散するからである。このような水田での脱窒による肥料窒素の損失をなるべく少なくするにはアンモニア態のものを選択し、できるだけ深く作土の還元層に入れるとよい。脱窒の結果生成する一酸化二窒素(亜酸化窒素)N2Oは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスであり、またオゾン層を破壊する原因物質でもあるので、窒素肥料の施用を改善し、脱窒を減らすことは地球環境を守るためにもたいせつである。[小山雄生]
『三井進午著『水田の脱窒現象――発見と波紋』(1978・養賢堂) ▽土壌微生物研究会編『新編 土壌微生物実験法』(1992・養賢堂)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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