脱窒菌(読み)ダッチツキン

デジタル大辞泉 「脱窒菌」の意味・読み・例文・類語

だっちつ‐きん【脱窒菌】

硝酸塩または亜硝酸塩などの硝酸性窒素還元する脱窒を行うことで、大気中に分子状の窒素として放出する細菌土壌中に存在し、自然界における窒素循環一部を担う。脱窒素細菌

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「脱窒菌」の意味・わかりやすい解説

脱窒菌
だっちつきん

硝酸HNO3または亜硝酸HNO2を窒素ガスに変えて空中に放出する作用をもつ細菌で、脱窒素細菌ともいう。自然界での窒素の循環上重要な細菌である。代表的なものとしてはシュードモナス・デニトリフィカンスPseudomonas denitrificansやパラコックス・デニトリフィカンスParacoccus denitrificansがある。放出される窒素ガスはすべて無機態の硝酸と亜硝酸からのもので、NO3-→NO2-→NO→N2O→N2の順に還元され、N2のほかにNOやN2Oが副次的に形成される。

 このように、脱窒菌は植物に不可欠な養分を土壌から奪うため、理論的には農業生産力を低下させることになるが、窒素循環の無限性が保たれることを考えると、有害と速断するのは誤りである。

[曽根田正己]

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