腎実質性高血圧(読み)じんじっしつせいこうけつあつ(英語表記)Renal parenchymal hypertension

六訂版 家庭医学大全科 「腎実質性高血圧」の解説

腎実質性高血圧
じんじっしつせいこうけつあつ
Renal parenchymal hypertension
(循環器の病気)

原因は何か

 二次性高血圧のなかでは最も頻度の高いもので、全高血圧の2~5%を占めます。腎臓病糖尿病膠原病(こうげんびょう)などの基礎疾患をもとに腎障害を示している病態で、腎臓実質(腎血管以外の腎臓)の障害による糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)慢性糸球体腎炎(まんせいしきゅうたいじんえん)腎硬化症(じんこうかしょう)多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)により、高血圧になります。腎臓実質の障害から高血圧に至る正確な機序(仕組み)は不明です。

症状の現れ方

 高血圧による特徴的な症状はなく、原疾患による症状が前面に現れます。

検査と診断

 血液検査に加え、糸球体濾過値(しきゅうたいろかち)測定やシンチグラフィレノグラム、腹部CT、MRIなどの画像検査による腎機能の評価は重要です。鑑別診断のために、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる腎生検も行われます。

治療の方法

 現在のところ、慢性腎疾患の発症を予測し、予防することは難しい状況です。したがって、透析が必要になる末期腎不全(じんふぜん)への移行を防ぐうえで、血圧のコントロールは非常に重要です。これら原疾患としての腎臓病の治療に関しては、それぞれの項目の治療欄を参考にしてください。

 降圧目標は130/85㎜Hg未満とし、1日の尿蛋白排泄量が1g以上の高度な尿蛋白があるものでは、腎機能に注意しながら125/75㎜Hg未満にコントロールすることが推奨されています。

病気に気づいたらどうする

 原疾患の治療に加え、降圧薬の減量増量、変更や追加、食事(食塩量、水分摂取量、蛋白摂取量)をはじめとした生活習慣改善など、きめ細かな対処が必要になります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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