精選版 日本国語大辞典 「腓」の意味・読み・例文・類語 こむら【腓・膊】 〘 名詞 〙 すねの背面の肉のふくれた部分。足のふくらはぎ。こぶら。こぐら。[初出の実例]「世尊の両の踝(コムラ)倶に隠れて現にあらず」(出典:彌勒上生経賛平安初期点(850頃))「男の袴を褰(かか)げて見ば、膊(こむら)爛(ただれ)に骨現也(あらはなる)見ゆ」(出典:今昔物語集(1120頃か)二〇)腓の語誌ふくらはぎの名称としては、平安以降「こむら」「こぶら」が併用されてきた。「かた言‐四」に「膊(こぶら)を、こむら」という記述があるので、近世初期には「こぶら」の方が規範的と考えられていたようである。しかし、近世には東国語系の「ふくらはぎ」が現われ、後期江戸語に受け継がれ、現在、「こむら」「こぶら」は共通語では複合語「こむらがえり」の中に残存しているにすぎない。 こぶら【腓】 〘 名詞 〙 =こむら(腓)〔享和本新撰字鏡(898‐901頃)〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「腓」の読み・字形・画数・意味 腓12画 [字音] ヒ[字訓] こむら・ふくらはぎ・あしきり[説文解字] [字形] 形声声符は非(ひ)。〔説文〕四下に「脛(けいせん)なり」とあり、もこむらの意。また腓腸ともいう。「こむら」に対して手のひじを「たこむら」という。辟(へき)に仮借して用い、足斬りの刑をいう。辟は腰肉を辛(刀)で切りとる象形字。腓はその声に用いる。[訓義]1. こむら、ふくらはぎ。2. 辟と通じ、あしきりの刑。また、さける。3. (ひ)と通じ、おおう、かばう、よる。4. と通じ、やむ。5. 草木が枯れることをいう。[古辞書の訓]〔和名抄〕腓 古无良(こむら) 〔名義抄〕腓 サル・コムラ・コフシ・ヤム[熟語]腓骨▶・腓字▶・腓腸▶・腓膊▶・腓辟▶[下接語]萎腓・外腓・草腓 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報