改訂新版 世界大百科事典 「腹部外科」の意味・わかりやすい解説
腹部外科 (ふくぶげか)
abdominal surgery
外科の一分野。外科は体の解剖学的区分により脳外科,胸部外科(心臓,肺)および腹部外科に分けられるが,腹部外科はとくに食道から直腸,肛門までの消化管や肝臓,膵臓および脾臓などの実質臓器の疾患を扱う。これら対象となる臓器のうち,食道は解剖学的には胸腔内に存在するが,手術のときには開腹術を伴うことが多いために腹部外科の範疇(はんちゆう)に入れられる場合が多い。太い静脈に直接チューブを入れて,高濃度の糖液,アミノ酸液を注入する中心静脈栄養法や種々の抗生物質の発見により,規模の大きい腹部外科手術も可能となった。さらに近年では,手術時間の短縮,出血量の減少という目的で消化管を吻合(ふんごう)するときに,吻合器械が用いられ良好な成績が報告されている。
→外科
執筆者:北島 政樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報