化学辞典 第2版 「臨界散乱」の解説
臨界散乱
リンカイサンラン
critical scattering
結晶はその相転移点を境にして,低温相の原子,分子,またはスピン配列に高温相にはない長距離秩序が現れることがある.このような結晶では,高温相から転移点に近づくにつれ,局所的な配列の秩序が成長し,長距離隔てた点の間の相関が,しだいにいちじるしくなる.このために,転移点近傍のX線,中性子線,あるいは電子線回折像中に生じる強い散漫・散乱を臨界散乱とよぶ.臨界散乱の研究には,中性子線回折による強磁性体や反強磁性体のスピン配列の秩序の研究,X線や電子線回折による結晶の二次の相転移の研究がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報