自然主義美術(読み)しぜんしゅぎびじゅつ(その他表記)Naturalistic art

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自然主義美術」の意味・わかりやすい解説

自然主義美術
しぜんしゅぎびじゅつ
Naturalistic art

芸術制作の規準を自然のなかに求め,対象の直接かつ正確な再現を目的とする美術。写実主義 (リアリズム) と区別しがたいが,理想や観念のなかに規準を求める理想主義,神秘主義と対立し,個別よりも普遍を重視する古典主義,および空想,非現実要素を求めるロマン主義とも対立する。美術史上では,もちろん純粋絶対的な自然主義というものはなく,作者主観を反映し,理想化を伴っている。中世後期,北欧ルネサンス,17世紀オランダの風景画,静物画など,さまざまな時代に自然主義的傾向を認めることができるが,特にこれを美術史上の時代様式を示す名称として考えるならば,19世紀前半のイギリスの風景画,コンスタブルボニントンターナーなどと,それから刺激を受けたフランスのバルビゾン派,T.ルソー,ミレー,コローなどの風景画をさすのが普通である。

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