自由の条件(読み)じゆうのじょうけん(その他表記)The Constitution of Liberty

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自由の条件」の意味・わかりやすい解説

自由の条件
じゆうのじょうけん
The Constitution of Liberty

F.Von ハイエク著。 1960年刊。現代福祉国家思想とそれを背後で支える狭義近代合理主義に対して,徹底的な批判を加えた自由主義政治哲学の代表的著作である。ハイエクが擁護するのは個人の自由であるが,その重要な論拠となるのは無知自覚である。我々がもし全知全能の存在であれば,未来を完全に予見し合理的な計画を立案することが可能である。しかし現実には我々は限られた知識をもちうるのみであり,予測不可能な事態に対応する個人的自由が必要となる。そして目的意識に基づいた組織化がなくても,個々人の自発的な活動のなかから秩序は自生的に形成される。その意味でハイエクは,強制のない状態を自由の本質とみなすイギリス的伝統を高く評価する。

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