船舶先取特権(読み)せんぱくさきどりとっけん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「船舶先取特権」の意味・わかりやすい解説

船舶先取特権
せんぱくさきどりとっけん

船舶に関する特定債権者に、その船舶・属具および未収運送賃に対して認められる特殊な先取特権。総債権者の共同の利益のために生じた債権、雇用契約によって生じた船員の債権、入港税等航海に関し船舶に課した諸税のような公益上の債権など、商法が列挙する債権(842条)について認められ、他の先取特権や船舶抵当権に優先する。船舶先取特権を有する債権者を船舶債権者という。なお、1967年の「海上先取特権および抵当権に関するある規則統一のための国際条約」の改正草案が1985年の万国海法会第33回の国際会議で採択された。

[戸田修三]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「船舶先取特権」の意味・わかりやすい解説

船舶先取特権
せんぱくさきどりとっけん
maritime lien

船舶に関する特定の債権につき,その船舶,属具などに対して法律上当然に認められる特殊の先取特権。海上先取特権ともいう。日本で船舶先取特権が認められる債権は,商法 842条,船主責任制限法 95条および国際海上物品運送法 19条にそれぞれ定められている。また「船舶の先取特権及び抵当権に関する国際条約」が 1926年と 67年に成立し発効しているが,締約国の数は多くない。

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世界大百科事典(旧版)内の船舶先取特権の言及

【舟∥船】より

…すなわち,船舶が航海を継続するために求めた経済的(借財,必需品の調達など)または労務上(救助,水先案内,曳船など)の援助を提供した債権者たちは,その船舶の上に先取(さきどり)特権を有する。これが,船舶先取特権の制度である(842~847条)。さらに,船舶金融の必要性から,法は,登記した船舶について,抵当権の目的とすることを認めている(848条1項)。…

※「船舶先取特権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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