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宇宙飛行 うちゅうひこう space flight

翻訳|space flight

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世界大百科事典 第2版の解説

うちゅうひこう【宇宙飛行 space flight】

宇宙空間,すなわち地球の大気圏外を飛行すること。この場合,飛行体は無人であってもかまわないわけであるが,一般には,宇宙空間を人間が移動している状態,言い換えれば宇宙旅行space travelとしてとらえられることが多い。
[空想の時代]
 宇宙飛行の発想をさかのぼれば,それはまず伝説や物語の中に見いだすことができる。その中では,人間は地上に対して天を一つの世界と考え,宇宙を舞台に観念的な自分の世界をつくり上げていた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宇宙飛行
うちゅうひこう
space flight

地球の大気圏外での飛行をいう。広大な宇宙からみれば、飛行空間は比較にならぬほど狭小であるが、誕生以来、地球表面での生活を送り、20世紀に至ってようやく大気圏内の飛行に成功した人類にとって、1961年4月12日、当時ソ連のガガーリンが初めて宇宙を飛行したことはまったく新しい経験であり、人類史上に記される重大なできごとであった。
 宇宙飛行は大気中の航空機の飛行とまったく異なる。大気圏の高さに対する明確な定義は確立していないが、その飛行空間はいわゆる真空である。宇宙線その他の放射線、宇宙塵(じん)などが飛び交ってはいるが、それらは、飛行体の運動にはほとんどなんの力も及ぼさない。
 ロケットによって打ち上げられた宇宙機の運動は、ロケットの噴射を止めたあとでは、重力だけによる自由飛行となる。自由飛行の状態では、宇宙機も宇宙機の中の物体もまったく同様に重力に従って動くから、見かけ上、重力はなくなり無重量状態となる。宇宙飛行を続けるための動力は要らず、燃料も消費しない。宇宙機の姿勢制御とか経路変更のためだけにわずかな推進剤を必要とする。地球の周りを数か月にわたり周回したり、はるかかなたの月や惑星にまで飛行できるのも、このためである。
 しかし逆に、地球大気の外に飛び出すためには、かつてない高速度を与えなければならず、そのためには、飛行機などでは経験しなかった大動力を使わなければならない。それがロケットであって、ロケットの発達こそが宇宙飛行を可能にした基礎である。それと同時に、宇宙機の経路を予定どおりに導いてゆく誘導が不可欠であり、その技術の発展も欠くべからざる要因であった。ロケットも誘導技術も第二次世界大戦を契機として育ってきたものであることを思えば、宇宙飛行は、原子力と同じく、戦争を生みの親とするものといってよいであろう。
 有人宇宙飛行を行うには、その特殊な環境に対応するために、それが人間に及ぼす影響ならびにそれへの対策が研究されなければならない。またそこから、人間に限らず広く生物一般への影響、ひいては生物そのものの基礎的な生態研究も進められてきた。以下、宇宙飛行が人間、生物にどのような影響を与えるかについて述べる。[大島正光・新羅一郎]

無重量状態が人間に及ぼす影響

地球上においては重力は1であるのに対して、宇宙機の場合は、無重量状態となる。無重量状態においてはすべてのものの重さがなくなるので、それによっていろいろの影響が人間に現れてくる。
 すべてのものから重量がなくなった場合の状態を例えていえば、人間は風船のようになる。身体は宙に浮き、わずかな反動で身体が動いてしまうことになる。ベッドで寝ているときの寝返りで宙に浮いてしまう。また1のもとで習熟した手の動きは、ねらったもののところに向かいにくくなり、目標よりも上のほうにずれてしまう。したがって宇宙の無重量状態のなかで操作するためには、かなり無造作な操作をしても目的にかなうように機器の操作部分をつくらなければならない。
 生理的な面についていうと、血液は地上では心臓から下方へ流れやすく、心臓から上へは流れにくいが、無重量状態では血液の重量がないために、心臓の上下の差なく平等に流出し、そのため大脳への流入が多くなり、のぼせた感じをおこさせる。血液の心臓への還流は容易になる。その結果、心臓が血液を押し出すことは容易になり、心臓の負担は軽くなるが、心臓循環機能はその分だけ衰退することになる。
 筋肉は、身体が無重量となるために筋力を必要としなくなり、筋肉の衰えをおこす。筋力の衰えは、地球に帰還したのち1のもとで身体を支えるのに困難をもたらす。
 さらに、重量物を支えていたり、またそれを移動させる役割をしていた骨格への影響も現れる。骨は地上におけるほど強度をもつ必要がないため、骨のなかのカルシウムが血液に移り、血液から尿に移り、体外に排出される。このために骨はもろくなり、骨折をおこしやすくなる。体液も地上にいるときほどの量を必要としなくなり、体重も2~3キログラム減少する。
 宇宙病といわれる症状が生ずるのも特徴の一つとしてあげられる。宇宙病は地上における船酔いと似た症状で、吐き気、嘔吐(おうと)、冷や汗などの症状を呈する。これは平衡機能の不適応現象であるとされているが、地上における平衡機能のあり方によって宇宙病にかかりやすい程度を推定することはできないとされている。視覚の面でも無重量状態は問題となる。垂直線の判断能力が衰え、また眼球も無重量のために不安な動きを示すことになる。これは地上でもおこる光の自動運動が強化されることにつながる。
 宇宙飛行中の生活についても無重量状態においてはさまざまな問題が生じる。食物は空中に浮いてしまうので、口に入るまでは固定しなければならない。口に入ったあとは胃に入るまで地上と同じように処理することができる。飲み物も空中に浮くので、チューブを利用したり、密閉したものからストローで吸い込む必要がある。睡眠をとる際も固定をする必要がある。また呼吸によって排出された炭酸ガスが口の周辺にたまり窒息するおそれがあるので、空気を混ぜておく必要がある。無重量状態のなかで身体を固定する方法としては、磁石で固定された履き物を利用する方法や、手で何かをつかむなどの方法がある。[大島正光・新羅一郎]

宇宙飛行における精神的影響

宇宙飛行においては、狭い密室の中に長時間閉じ込められるために、人間は孤独現象を生ずるといわれる。これを防ぐためには、家族との通信やラジオを聞いたり、テレビがみられるようにするなど、地上とのコミュニケーションが必要である。また精神疲労の問題もある。[大島正光・新羅一郎]

生理的リズムと昼夜の交替周期との関係

生理的リズムは地上では24時間を1周期とする。ところが宇宙においては、地球軌道を回る場合には3~4時間で昼夜の1周期を終わることになり、その周期の差異は人間の生理的リズムの変調を引き起こす。人間は地上の生理的リズムに従って生活をする必要があり、それには、地球を宇宙から観察して、地球上の昼夜の交替に従って生活する必要がある。[大島正光・新羅一郎]

宇宙線・太陽光線などの対策

宇宙飛行中には無重量だけではなく、さまざまな条件が人体とかかわり合いをもつことになる。宇宙線その他の放射能については、いうまでもなく放射能の限界を守らなければならない。そのためには宇宙船などに防護装置をつける必要がある。遮蔽物(しゃへいぶつ)で放射能の突入を防ぐことができる。出発時および帰還時の加速度、減速度は最近はごく小さくなったので、その影響については心配がなくなってきた。宇宙機内の気圧は最近はアメリカにおいても1気圧で、機内の空気中の酸素も21%となり、地上と同条件であり、問題はない。機内温度および湿度については冷暖房装置によってコントロールすることができる。太陽光線については、窓に遮蔽を施すことによって、強い紫外線から人体を守ることができる。船酔いに似た症状の宇宙酔いについては防止薬を用いてある程度抑えることができる。無重量対策としては、人工重力によって対策とすることができ、0.8ぐらいの重力が快適であるとされている。[大島正光・新羅一郎]

動植物による宇宙飛行実験

宇宙飛行は動植物をいろいろと実験する場としても使われ、さまざまな新しい知見を与えてくれた。その成果は宇宙ライフサイエンスとして実りあるものとみることができる。
 植物はその茎を重力に抗して上方に伸ばすことは地上ではあたりまえのこととしてみられ、たとえば茎を水平にしておいても上方に伸びてゆく。ところが宇宙において無重量状態になると、水平においた茎はそのまま水平に伸びてゆく。これは宇宙における顕著な現象であり、また象徴的な現象であるといってよいであろう。
 動物については数多くの実験が重ねられ、興味ある結果が得られている。クモが無重量状態において巣を張れるかという実験では、初めはまずいが、しだいに慣れてうまく巣をつくることができるようになった。エンブリオembryo(生物の胚(はい))の成長の過程を追ったが特別の異常は認められなかった。また細菌を使用しての実験も行われた。ミツバチなどの飛翔(ひしょう)する状況が無重量状態でどのように変わるかの実験も行われた。そのほか多くの生物実験が行われて宇宙生物学の発展に寄与してきた。
 なお、地球外の惑星での生物の存在の探査については、火星などに無人機が軟着陸して自動分析装置で研究を進めた。生物の存在の探り方についてはさまざまな方法が考えられており、今日の人類の存在を歴史的にみていこうとする方面も並行して進められている。[大島正光・新羅一郎]

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