日本大百科全書(ニッポニカ) 「苫小牧東部開発計画」の意味・わかりやすい解説
苫小牧東部開発計画
とまこまいとうぶかいはつけいかく
北海道・苫小牧市東部を中心とした1万0700ヘクタールの土地に大規模工業地域を形成する計画。全国総合開発計画(全総)にも盛り込まれた国家プロジェクトで、1971年(昭和46)の基本計画では石油化学や鉄鋼など重厚長大型の工業開発を目ざした。だが、石油危機など経済情勢の変化から分譲が進まず、北海道東北開発公庫、北海道、民間金融機関などが出資した第三セクターである苫小牧東部開発も1997年(平成9)には1800億円近くの負債を抱えるなど経営が悪化した。政府は出資者に合計1213億円の債権放棄を求めたうえで第三セクターを解散、売れ残りの土地は新たな第三セクターに時価で譲渡して、売却代金を残る債務返済にあてるという債務処理策をまとめた。これを受けて1999年7月に新会社「苫東」が発足、旧会社の苫小牧東部開発は同年9月に特別清算された。旧会社は第三セクターとして過去最大の倒産。だが新会社が引き継いだ用地6500ヘクタールの明確な利用目的は決まっておらず、以後36年間でこのうち4600ヘクタールを売却するという分譲計画を危ぶむ声が強い。同じく、多額の債務を抱え経営が行き詰まった「むつ小川原開発」計画でも、同様の債務処理策がとられ、2000年8月に新会社「新むつ小川原」を設立、旧会社は特別清算された。
[編集部]