朝日日本歴史人物事典 「菊隠」の解説
菊隠
生年:生年不詳
沖縄での臨済宗の総本山・円覚寺の第18代住持。17世紀初めの琉球王府の加判役。幼くして円覚寺住僧洞観にしたがって僧門に入り,のち日本五山に登る。参禅道を十余年ほど修め,古渓宗陳より菊隠の号を受けたという。円覚寺に多年住したのち千手院を建てて隠居したが,尚寧21(1609)年の薩摩軍の侵入に際して講和の使者のひとりに推されて活躍,尚寧王の鹿児島,江戸参向にもつき従った。帰国後はこれまでの功が認められて上儀保村(首里儀保町)への西来院の開山認可,加判役の拝命,大里間切への800石の給知,王子の位の叙位など,破格の待遇を受けた。老年のため退役したのちも400石を給され,西来院でその生涯を終えた。<参考文献>真境名安興・島倉竜治『沖縄一千年史』
(上原兼善)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報