日本大百科全書(ニッポニカ) 「十三陵」の意味・わかりやすい解説
十三陵
じゅうさんりょう
中国、北京(ペキン)市北方約40キロメートル、平昌(へいしょう)区天寿山下に営まれた明(みん)代の13帝の陵墓群。永楽帝(在位1402~24)を葬った長陵を中心に、それを取り巻くように、献陵(洪煕帝(こうきてい)、在位1424~25)、景陵(宣徳帝、在位1425~35)、裕陵(天順帝、在位1457~64)、茂陵(もりょう)(成化帝、在位1464~87)、泰陵(弘治帝(こうちてい)、在位1487~1505)、康陵(正徳帝、在位1505~21)、永陵(嘉靖帝(かせいてい)、在位1521~66)、昭陵(隆慶帝、在位1566~72)、定陵(ていりょう)(万暦帝、在位1572~1620)、慶陵(泰昌帝、在位1620)、徳陵(天啓帝、在位1620~27)、思陵(崇禎帝(すうていてい)、在位1627~44)が並んでいる。この陵墓群は清(しん)代の皇帝陵墓(2000年登録)とともに世界遺産の文化遺産として登録されている(2003年追加登録。世界文化遺産)。
もっとも規模の大きいのは長陵で、南端の白石牌坊(はいぼう)から陵門まで7キロメートルも続く参道には、巨大な石人や石獣が並ぶ。長陵発掘の予備調査として、まず定陵が1956~58年に発掘されたが、地下深くに前殿、中殿、左右配殿があり、後殿には皇帝、皇后の柩(ひつぎ)が置かれていた。出土した豪華な金銀器や冠冕(かんべん)、玉帯、袍服(ほうふく)などの副葬品は前庭の展示室に飾られ、地下墓室は定陵博物館として公開されている。
[吉村 怜]