長唄(ながうた)の曲名。1859年(安政6)2月初演。2世杵屋(きねや)勝三郎・3世杵屋正次郎作曲。歌舞伎(かぶき)女方の芳沢(よしざわ)あやめが好んだ「あやめ浴衣」の宣伝と、長唄の唄方芳村(よしむら)伊十郎の改名披露、さらに伊十郎と作曲者勝三郎の不和の仲直りと、いろいろな目的でつくられたといわれる。詞章の前半は浴衣の宣伝文句で、色や染め付けのよさ、俳優だれそれ好みの鹿の子(かのこ)絞りなどと並べ立て、いかにもCMソングとわかる。しかし、そのゆったりした曲調が現代の曲と違って、かえっておもしろい。調弦は、本調子→二上り→三下りと変わり、「佃(つくだ)の合方」を取り入れて、川の情景描写をしている。
[茂手木潔子]
敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...