菖蒲浴衣(読み)あやめゆかた

精選版 日本国語大辞典 「菖蒲浴衣」の意味・読み・例文・類語

あやめ‐ゆかた【菖蒲浴衣】

[1] 〘名〙 昔、五月五日の端午節句に着たゆかた。あやめゆかたびら。しょうぶゆかた。
長唄・菖蒲ゆかた(1859)「今日の晴着に風薫る、菖蒲浴衣(アヤメユカタ)の白がさね」
[2] 長唄。二世杵屋勝三郎作曲。作詞者不明。安政六年(一八五九初演。五世芳村伊三郎と勝三郎との和解の記念曲。初夏風物をうたう。

しょうぶ‐ゆかた シャウブ‥【菖蒲浴衣】

〘名〙 =あやめゆかた(菖蒲浴衣)(一)〔俳諧・誹諧通俗志(1716)〕

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デジタル大辞泉 「菖蒲浴衣」の意味・読み・例文・類語

あやめ‐ゆかた【菖蒲浴衣】

端午の節句に着た浴衣。しょうぶゆかた。
[補説]曲名別項。→菖蒲浴衣

あやめゆかた【菖蒲浴衣】[曲名]

長唄。2世杵屋勝三郎・3世杵屋正次郎作曲。安政6年(1859)初演。勝三郎と5世芳村伊三郎との和解を記念し、また浴衣の宣伝もかねて作られたという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「菖蒲浴衣」の意味・わかりやすい解説

菖蒲浴衣
あやめゆかた

長唄(ながうた)の曲名。1859年(安政6)2月初演。2世杵屋(きねや)勝三郎・3世杵屋正次郎作曲。歌舞伎(かぶき)女方の芳沢(よしざわ)あやめが好んだ「あやめ浴衣」の宣伝と、長唄の唄方芳村(よしむら)伊十郎の改名披露、さらに伊十郎と作曲者勝三郎の不和の仲直りと、いろいろな目的でつくられたといわれる。詞章の前半は浴衣の宣伝文句で、色や染め付けのよさ、俳優だれそれ好みの鹿の子(かのこ)絞りなどと並べ立て、いかにもCMソングとわかる。しかし、そのゆったりした曲調が現代の曲と違って、かえっておもしろい。調弦は、本調子→二上り→三下りと変わり、「佃(つくだ)の合方」を取り入れて、川の情景描写をしている。

[茂手木潔子]

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