葛の松原(読み)クズノマツバラ

デジタル大辞泉 「葛の松原」の意味・読み・例文・類語

くずのまつばら【葛の松原】

江戸前期の俳論書。1冊。各務支考著。元禄5年(1692)刊行松尾芭蕉宝井其角などの句について随筆風にまとめたもの。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「葛の松原」の意味・わかりやすい解説

葛の松原 (くずのまつばら)

俳諧論書。各務(かがみ)支考著。1692年(元禄5)刊。巻頭に〈支考述,不玉撰〉とあり,巻末に羽黒の図司呂丸亭で脱稿の旨奥書があるが,事実は,92年春から夏にかけて奥羽の旅に出た支考が,江戸帰着後に書きあげ出版したもの。内容は,芭蕉の〈古池や〉の句の成立過程や俳諧の新古の論,芭蕉や其角ら蕉門の句についての感想や批評,景気付,心付(こころづけ)のほかに,走(はしり),響(ひびき),馨(におい)を付方の名目としてあげるなど,風雅,趣向等についての考え方を示す40項目からなる随筆風の俳諧論である。後年の支考の俳論のように体系的なものはないが,俳論家としての資質を十分に示している。
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