蒔き銭（読み）マキセン

デジタル大辞泉

まき‐せん【^×蒔き銭／^×撒き銭】

１ 神詣かみもうでの際、特に伊勢神宮の参拝者が諸宮を巡拝する際に、蒔まき米の代わりにまいて手向ける銭。多くは鳩目銭はとのめせんを用いた。
２ こじきなどに投げ与える銭。
３ 棟上げなどの際、施工主が祝いとして参列者にまく銭。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

まき‐せん【蒔銭・撒銭】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 神社・仏閣に参詣する者が、投げて手向ける銭。特に、昔、伊勢神宮に参詣する者が摂社、末社巡拝の際に散米の代わりにまいた銭。ふつう鳩目銭(はとのめせん)を用いた。
   1. [初出の実例]「ようこそは春は御されの伊勢参 五文十文まき銭の山」(出典：俳諧・西鶴大矢数（1681）第二〇)
3. ② ばらまいて与える銭。路傍の乞食などにまいてやる銭。
   1. [初出の実例]「つまる所まき銭のなさけを乞」(出典：浮世草子・好色旅日記（1687）四)
4. ③ 中世以降、祭礼や棟上げなどの際、祝いとして参列者にまかれる銭貨。
   1. [初出の実例]「蒔銭の当りてなき出すもあり又は吾れ多く拾はんとて大地に臥して」(出典：風俗画報‐五一号（1893）人事門)

出典　精選版 日本国語大辞典