蕪坂峠(読み)かぶらざかとうげ

日本歴史地名大系 「蕪坂峠」の解説

蕪坂峠
かぶらざかとうげ

熊野街道が長峰ながみね山脈を越える峠。街道がいちつぼ山路やまじ王子(一壺王子)を過ぎ、沓掛くつかけから長峰に続く白倉しらくら山に登りかけてはいノ峠を越えると、白倉山西側の山腹をめぐる比較的緩やかな道となる。この平途八町を横午または蕪坂峠というと「続風土記」にある。この道は郡境を越えて有田郡はた(現有田市)蕪坂塔下かぶらざかとうげ王子を経てさらにどう(現有田市)に下る。「続風土記」は登り八町、峠の平途八町および下り六町をすべて蕪坂というとし、「紀伊名所図会」は「かぶらもて鹿を射し坂なれば鏑坂と名づけしにや、峠に茶店あり」と記している。

蕪坂の名は藤原宗忠の「中右記」天仁二年(一一〇九)一一月六日条に熊野詣帰途「加不良坂」を越えるとあり、建仁元年(一二〇一)の「後鳥羽院熊野御幸記」の往路一〇月九日条に「次昇カフラ坂、参タウ下王子」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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