沓掛(読み)クツカケ

デジタル大辞泉 「沓掛」の意味・読み・例文・類語

くつかけ【沓掛】

長野県東部、軽井沢町軽井沢の旧称。もと中山道の宿駅。

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精選版 日本国語大辞典 「沓掛」の意味・読み・例文・類語

くつ‐がけ【沓掛】

〘名〙 旅人などが、道中の無事を祈願して道祖神、庚申(こうしん)、山の神などに草鞋(わらじ)馬沓の類を掛けて手向けること。また、その掛けたもの。

くつかけ【沓掛】

長野県東部、軽井沢町中軽井沢の旧称。かつては中山道の軽井沢と追分の間にあった宿駅。浅間三宿一つ。現在はしなの鉄道(旧信越本線)が通じる。古称、長倉。

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改訂新版 世界大百科事典 「沓掛」の意味・わかりやすい解説

沓掛 (くつかけ)

信濃国佐久郡,中山道の宿駅。現在の長野県北佐久郡軽井沢町中軽井沢。古代は長倉郷に属し,地域内の長倉神社は《延喜式》のそれと関係があるという。近世では中山道の軽井沢と追分の中間の宿駅。北に上州の草津や大笹へ向かう街道が分かれ,大笹からは北信濃の仁礼(にれい),須坂,飯山方面にも通じたので,その地方の物は大笹から沓掛に出ることが多かった。また追分宿との中間の借宿(かりやど)からは,鳥居原を経て入山峠にかかる道や和美峠から下仁田に行く姫街道があって,物資輸送上では重要地点であった。1773年(安永2)の大火で宿の大半が焼失してから宿の位置も移された。1843年(天保14)の家数は166軒であった。小諸藩領などの時代を経て1716年(享保1)からは幕領。維新後衰微したが,大正時代から千ヶ滝地域が別荘地となり,さらに鬼押出や星野温泉の入口として繁栄することになった。明治になって付近と合併して長倉村となり,1889年軽井沢村などと合併して東長倉村,1923年軽井沢町となる。さらに56年国鉄が駅名を中軽井沢と変えたのに伴い60年字名も中軽井沢とした。
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沓掛[温泉] (くつかけ)

長野県中部,小県(ちいさがた)郡青木村にある温泉。単純硫化水素泉,38℃。長野新幹線およびしなの鉄道の上田駅から西へバスの便がある。東にある夫神(おかみ)岳が京都の小倉山に似ているところから小倉の湯と呼ばれた。信濃国司滋野親王が入湯し眼病が治ったという伝説があり,昔のにぎわいをしのばせる話も多く残っている。現在は旅館3軒の静かな湯治場である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「沓掛」の意味・わかりやすい解説

沓掛
くつかけ

長野県北佐久郡軽井沢町中央部の地区。近世軽井沢、信濃追分(しなのおいわけ)とともに浅間三宿(あさまさんしゅく)の一つとして栄えた。現在は中軽井沢とよばれる。近くに星野温泉や千ヶ滝別荘地、北原白秋カラマツの詩碑などもあり、浅間火山北麓(ほくろく)へ通ずる国道146号も18号からここで分かれる。

[小林寛義]

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百科事典マイペディア 「沓掛」の意味・わかりやすい解説

沓掛【くつかけ】

日本各地の宿駅に残る地名。旅人が草鞋(わらじ)や馬の沓をささげて神に旅の平穏を祈ったことに由来するといわれる。特に中山道の浅間三宿のうちの沓掛宿(長野県軽井沢町)が有名で,現在はしなの鉄道中軽井沢駅があり別荘地,観光地になっている。
→関連項目追分軽井沢[町]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沓掛」の意味・わかりやすい解説

沓掛
くつかけ

長野県東部,浅間山の南麓,軽井沢町にある旧宿場町。東方に碓氷峠を控え,軽井沢,追分とともに中山道の浅間三宿として知られた。信越本線の開通により宿場町としては寂れたが,大正中期から周辺に別荘地が開発されたため,現在は中軽井沢と呼ばれて,旧軽井沢に次ぐ商店街となっている。中山道 (国道 18号線) と浅間山の北麓へ通じる大笹街道 (国道 146号線) の分岐点でもある。

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事典・日本の観光資源 「沓掛」の解説

沓掛

(長野県北佐久郡軽井沢町)
中山道六十九次」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の沓掛の言及

【履物】より

… この世と異界(聖域も含めて)の違いは,履物とはだしの対立関係であらわすこともできるように思われる。山伏には〈山入り〉の際に麓で新しい草鞋にはきかえ,山での草鞋は杖にかけて大事に持ち帰る風習があり,峠などに多い沓掛(くつかけ)という地名は,俗界と聖界の境と考えられる所になっている場合がある。これらは,履物をかえることで異なった空間であることをあらわしているのだが,湯殿山の奥の院などははだしで参ることになっている。…

※「沓掛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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