朝日日本歴史人物事典 「藤原吉野」の解説
藤原吉野
生年:延暦5(786)
平安前期の公卿。綱継と妹子(姉子とも。綱継の異母妹)の長男。駿河守としての治績が評価され,弘仁14(823)年,淳和天皇の即位にともない中務少輔に抜擢された。以後淳和に近侍し,天長10(833)年3月,仁明天皇即位と同時に正三位に叙せられたが,右近衛大将を辞し淳和上皇につき従った。同11年中納言。承和7(840)年5月,上皇が没後の散骨を命じたとき,宗廟たるべき山陵がなければ臣下はどこを仰げばよいのかといってこれを戒めている。親に孝養を尽くしたことでも知られ,留守中,父綱継の使いがきて新鮮な肉を請うたが,料理人は分け与えなかった。あとでそれを知り料理人を責め,以後二度と肉を食べなかったという。
(瀧浪貞子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報