藤原有年申文(読み)ふじわらのありとしもうしぶみ

山川 日本史小辞典 改訂新版 「藤原有年申文」の解説

藤原有年申文
ふじわらのありとしもうしぶみ

讃岐国司解有年申文」とも。867年(貞観9)2月16日付の「讃岐国司解」に添えられた申文。当時,讃岐国の那珂・多度両郡に居住していた因支首(いなきのおびと)一族6家が,伊予別公の子孫であることにちなみ和気公に改姓することを上申した文書に有年が添書したもの。草仮名(そうがな)で書かれているものの,字形はさらに簡略化されている。東京国立博物館蔵。縦30cm,横45.5cm。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の藤原有年申文の言及

【仮名】より

…次に男手でも女手でもない書体は,男手の草書体のさらに略体で〈草(そう)〉と呼ばれ,男手が簡略化された書体である。《源氏物語》の〈絵合(えあわせ)〉や〈梅枝(うめがえ)〉の巻に〈草〉または〈草の手〉と記されているが,遺品としては〈讃岐国司解(さぬきのこくしげ)〉巻首にある《藤原有年申文(ふじわらのありとしもうしぶみ)》が挙げられる。これは867年(貞観9)の文書で,漢字の草書体がさらに移行して,女手への過渡期的書風が示され,しかも漢字の草書の原形を保った字形である。…

※「藤原有年申文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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