虹彩欠損(読み)こうさいけっそん(その他表記)Coloboma of iris

六訂版 家庭医学大全科 「虹彩欠損」の解説

虹彩欠損
こうさいけっそん
Coloboma of iris
(眼の病気)

どんな病気か

 虹彩欠損は虹彩の一部(主に下方のやや鼻側)が欠損している状態です(図58)。常染色体優性遺伝形式をとることが多く、両眼性が多いです。

原因は何か

 眼球は発生の過程で(胎生6~7週に)、ちょうど手掌(しゅしょう)を下に向けて卵をつかむ時の手の形のように形成されていきます。この際の親指の先と他の指先のすきまにあたる部位を眼杯裂(がんぱいれつ)胎生裂(たいせいれつ))といいますが、この眼杯裂の閉鎖不全が原因で起こります。したがって下方に欠損が起こります。

 虹彩だけでなく、毛様体(もうようたい)脈絡膜(みゃくらくまく)、視神経にも部分的な(下方)欠損を伴い、また小眼球症、前房・隅角発育異常に伴う緑内障を合併することもあります。全身的には、耳介奇形(じかいきけい)、心奇形、性器低形成、口唇裂(こうしんれつ)、精神発育遅滞などを合併することがあります。

症状の現れ方

 自覚症状がなく、眼科での検査で初めて指摘されることがあります。脈絡膜欠損を合併する場合は(主に上方視野に)視野障害を認めます。また合併症に応じて視力低下を生じることもあります。

治療の方法

 通常は未治療のまま経過観察でよいのですが、合併症を生じた場合は、手術を含め眼科的管理が必要です。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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