化学辞典 第2版 「融合温度」の解説
融合温度
ユウゴウオンド
coalescence temperature
NMRスペクトルにおいて,2本の等強度のシグナルを与える核スピンの間で化学交換が起こる場合,その速度が大きくなるに従って,2本のシグナルは徐々に近寄ると同時に幅広くなり,ついで一つのシグナルに融合(coalescence)し,さらに速くなると鋭い1本のシグナルとなる.この変化は試料の温度を変化させることによって観測することができる.昇温に伴って2本のシグナルがちょうど融合する温度を融合温度とよび,Tc という記号で表される.融合温度での速度定数 kc は,2本のシグナルの化学シフト差をΔν(Hz)とすると,
で近似される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報