蟷螂・螳螂・鎌切(読み)かまきり

精選版 日本国語大辞典 「蟷螂・螳螂・鎌切」の意味・読み・例文・類語

かま‐きり【蟷螂・螳螂・鎌切】

〘名〙
[一] (蟷螂螳螂)
カマキリ目の昆虫の総称。体は草緑色または枯れ葉色で、細長い。頭は三角形、前胸部は細長く、腹部は肥大する。頭部には大きな複眼と、短い糸状の触角がある。前あしは鎌状で、とげがあり、他の昆虫を捕食するのに用いる。秋、木の枝などに海綿状の卵嚢を産みつけ、卵で越冬する。日本にはオオカマキリ、コカマキリなど九種類ほどが分布する。とうろう。いぼむしり。いぼじり。おのむし。かまぎっちょう。かまぎっちょ。いぼつりむし。かまむし。《季・秋》 〔日葡辞書(1603‐04)〕
※俳諧・錦繍緞(1697)上「蟷螂(カマキリ)の尋常に死ぬ枯野かな〈其角〉」
② やせた人や馬をいう。
雑俳・たうへがさ(1716‐36)「うき世也・母は蟷螂苦に病んで」
[二] (鎌切) 「とかげ(蜥蜴)」の異名。〔物類称呼(1775)〕
[三] (鎌切) カジカ科の淡水魚。全長約三〇センチメートルに達する。カジカに似ているが大きく、胸びれの全軟条の先端が分枝している。背部は暗灰色で、体側に四本の黒色横帯がある。河川中流域の礫底を好む。産卵場所は河口から沿岸で、稚魚になると川を遡る。南日本の河川に多いが、近年減少が著しい。肉は美味。鰓蓋の後縁に四本の棘があり、これにアユをかけ、とらえて食べるといわれ、アユカケの名もある。あられがこ。がこ。かくぶつ。

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