朝日日本歴史人物事典 「行善」の解説
行善
奈良時代の僧。俗姓堅部氏。河辺法師と号す。推古天皇の時代に高句麗に留学,同国の滅亡(668)にともない流離し,唐に到る。養老2(718)年帰国。同5年,勅により,長期の留学中に難行をあじわいながらも学業を修めたことを賞され,天下の諸寺に修行するときに僧綱と同じ供養を受けるという待遇を与えられた。留学中,橋が壊れて川を渡れないのに困り,観音を念じたところ,観音の化した老翁が船に乗り現れ助けてくれた。それ以後,観音像を日夜帰敬したという説話が伝えられている。<参考文献>景戒編『日本霊異記』(上巻第6巻)
(鷺森浩幸)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報