日本大百科全書(ニッポニカ) 「行政計画」の意味・わかりやすい解説
行政計画
ぎょうせいけいかく
計画とは、一般に、目標の設定およびその達成のための手段の調整・総合化からなり、行政計画とは、行政機関がその活動について定める計画またはその策定行為をいう。行政の計画的遂行の確保がその本来の機能である(例、環境基本法15条)。
行政計画は、一定の期間をかけて社会を形成していく分野で用いられてきた(例、国土総合開発)。広範囲にわたり多様な利害が調整されることから、行政内での協議、利害関係者の参加などの整備が要請される。計画の策定には裁量が大きく、また、策定の段階では具体的な権利義務・法律関係が法的には定まらず、行政計画の違法性を国民が裁判で争うことを認めることは容易ではない。計画の実施は長期間にわたることがあり、行政機関は状況の変化に対応しなければならず、計画の中止・変更が要請される一方、計画を前提に行動してきた者に不利益となるような計画の注意・変更を行ってよいか、問題となることがある(例、長期未着手の都市計画道路の見直し)。
[荒木 修 2022年2月18日]