日本大百科全書(ニッポニカ) 「袾宏」の意味・わかりやすい解説
袾宏
しゅこう
(1535―1612/1615)
中国、明(みん)代を代表する高僧。雲棲(うんせい)袾宏ともいう。杭州(こうしゅう)の人。姓は沈(ちん)氏、字(あざな)は仏慧(ぶつえ)、号は蓮池(れんち)。若くして儒学を学んだが、27歳で父を、31歳で母を失い、翌1566年出家。諸方に参学し、1571年(隆慶5)杭州雲棲山の廃寺を再興して人々を教化したので、同寺は大叢林(だいそうりん)となった。儒仏道三教の調和を説き、華厳(けごん)、禅(ぜん)、浄土(じょうど)、戒律(かいりつ)の総合的仏教を唱え、また、仏教儀礼、放生池(ほうじょうち)、功過格(こうかかく)(行為の善悪を点数で計算し、善行を勧める)など各方面で活躍したので、私淑する僧俗は数えきれないほどであった。蓮宗(中国浄土教)第八祖とされる。万暦(ばんれき)43年(一説に40年)7月4日81歳で寂した。著書は多く、『阿弥陀経疏鈔(あみだきょうしょしょう)』『往生(おうじょう)集』『禅関策進(ぜんかんさくしん)』などが『雲棲法彙(ほうい)』34巻に集録されている。
[柴田 泰 2017年2月16日]