改訂新版 世界大百科事典 「複体」の意味・わかりやすい解説
複体 (ふくたい)
complex
トポロジーの立場からみて,点,線分,三角形,四面体などの単体(と同相な図形)はもっとも単純なものである。そこで,一般の図形の位相的性質を研究するのに,その図形をある一定の方法でいくつかの単体に分割して,それらの単体の間の組合せのようすを調べるという方法がしばしば採られる。このようにして得られた単体の集合を複体という。正確には次のように定義される。ユークリッド空間の中に有限個の単体の集合Kがあって,次の2条件が成り立つときKを複体という。(1)Kに属する任意の単体のすべての辺もまたKに属する。(2)Kに属する任意の二つの単体の共通部分はそれらの単体の辺である。ここに単体の辺とはその単体の一部の頂点を頂点とする単体のことである。なお,複体に属するすべての単体をユークリッド空間の部分集合としてみて,それらの和集合をつくったときに得られる図形を多面体という。
→単体
執筆者:中岡 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報