朝日日本歴史人物事典 「西村屋与八」の解説
西村屋与八(2代)
江戸時代中期から幕末まで営業した書肆の2代目。家号は永寿堂。日比野氏。店は日本橋馬喰町2丁目。初代が鳥居清長らの錦絵で売り出し,のち江戸を代表する書物,地本問屋となった。2代目は養子で,鱗形屋孫兵衛の子息といわれ(『近世物之本江戸作者部類』),親交のある柳亭種彦を合巻作者に育てた。ことに文化12(1815)年刊の『お仲清七正本製楽屋続絵』が歌川国貞の役者似顔絵を配した歌舞伎の脚本風仕立てで好評を得,以後『正本製』は天保2(1831)年まで続くロングセラーとなり,種彦の出世作となった。読本『双蝶記』,筆禍後の山東京伝の作品や,十返舎一九の作品など,幅広く出版活動を行った。
(安永美恵)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報