日本大百科全書(ニッポニカ) 「西野辰吉」の意味・わかりやすい解説
西野辰吉
にしのたつきち
(1916―1999)
小説家。北海道初山別(しょさんべつ)村の貧しい開拓農家に生まれ、小学校高等科卒業後、職業を転々とした。第二次世界大戦後、日本共産党に入党、新日本文学会員となる。『米系日人』(1952)が占領下の現実を描いて好評を博し、『秩父(ちちぶ)困民党』(1954~56)で毎日出版文化賞を受賞、『東方の人』(1966)では大逆事件、『挑発者』(1977)では昭和の革命運動の内部を描いた。日本民主主義文学同盟創設に参加したが、1969年(昭和44)に脱退、共産党から離党、『戦後文学覚え書』(1971)などを発表した。
[伊豆利彦]
『『秩父困民党』(1968・東邦出版)』