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固溶体 こようたいsolid solution

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

固溶体
こようたい
solid solution

結晶内で複数の成分が均一かつ無秩序に分布した単相の固体。金属は結晶質なので,金属元素から成る固溶体では格子点の溶媒原子が溶質原子で置換される (これを置換型固溶体という) 。しかし,溶質が水素,窒素,酸素,炭素,ホウ素など,金属に比し小さい非金属原子の場合は,それが格子のすきまに入って固溶体をつくる (侵入型固溶体) 。どちらも溶質原子の位置はまったく無秩序で,溶質原子周辺は格子ひずみを生じて硬化の原因になる。置換型の場合,溶媒と溶質が同じ型の結晶格子で原子寸法差が小さければ,格子のひずみは小さく固溶限が大で,ときには Au-Ag,Au-Cu,Cu-Niのように全率固溶体 (→合金の状態図 ) をつくる。侵入型は格子ひずみが大きいため固溶限は小さく,溶質が増加すると格子型の異なる化合物が現れる。固溶体合金は硬化を示すだけではなく,電気伝導度,熱膨張係数も顕著に下がり,磁気的性質も変化するので,工業的に利用される。純金属を母相とする固溶体を1次固溶体またはα固溶体といい,中間相 (→金属間化合物 ) の固溶体相は状態図上で順にβ,γ,δ,…とギリシア文字で記号する習慣である。固溶体は金属だけでなく,塩類同士でも形成されるが,これは特に混晶といって区別される。

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デジタル大辞泉の解説

こよう‐たい【固溶体】

複数の物質がまじり合って均一な状態になっている固体。合金の多くはこれにあたる。→混晶

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百科事典マイペディアの解説

固溶体【こようたい】

2種以上の物質が互いに溶け合い,全体として均一な相をなす固体混合物。非金属結晶の場合には混晶ということが多い。構造上,溶媒の原子または分子のつくる結晶格子の間隙(かんげき)に溶質の原子または分子が侵入した侵入型と,結晶格子をつくる原子または分子が他の原子または分子で置換された置換型に大別される。
→関連項目合金侵入型化合物同型置換ニッケル合金メカニカル・アロイング溶液

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岩石学辞典の解説

固溶体

二種類またはそれ以上の異なった物質が互いに均一に溶け合った結晶質の固相.二つ以上の元素または化合物が混合する場合に,一つの成分の原子や分子が他の成分の構造の中に入り込んで,平衡状態では単一の相をなす固体混合物,結晶体が他種の結晶体を溶かし込んだものと見なしてよい.しばしば同形(isomorphous)の化合物からなっているが,同形は必要な条件ではない.このような混合物の比率は均質性をなくすことなく全組成にわたって固溶体をつくる場合と,ある特定の限られた組成範囲で固溶体をつくる場合がある.多くの普通の火成岩造岩鉱物は複雑な固溶体を作り,長石,輝石,角閃石などの例がある[Bowen : 1928,片山ほか : 1970,長倉ほか : 1998].

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世界大百科事典 第2版の解説

こようたい【固溶体 solid solution】

2種類以上の原子が,ある範囲内において任意の割合で均一に混じり合ってできる結晶。混晶mixed crystalとも呼ばれる。ふつうの化合物(定比化合物)では,たとえば化学式AmBn(m,nは整数)で表されるように,その原子数の比は簡単な整数比をなす。非化学量論的化合物(不定比化合物)では,たとえばAxB1-x(0<x<1)のように,原子数の比が整数比からずれている。このxの値すなわち組成の比較的広い範囲にわたって同一結晶構造の相をもつものが固溶体で,xが0と1の間にわたって存在する固溶体を全率固溶体という。

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大辞林 第三版の解説

こようたい【固溶体】

固体に他の固体が溶けて均一な一つの固体となっているもの。本来の結晶格子のすき間に他の物質の原子が入り込んだ場合と、格子点の位置の原子が他の物質の原子と置換した場合とがある。金と銀の合金は後者の例。 → 合金

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

固溶体
こようたい
solid solution

2種以上の物質が混合して完全に均一な固相となる固体をいう。ある結晶相の格子点にある原子がまったく不規則に別の原子と置換するか、あるいは格子の間隙(かんげき)に別の原子が侵入したものの2種がある。前者を置換型、後者を侵入型の固溶体とよぶ。二成分あるいは三成分型の金属で結晶格子の特定の位置に規則的に別の成分が置換しているときは固溶体とはいわず、金属間化合物という。
 置換型の固溶体は多くの合金や塩化カリウムKClと臭化カリウムKBrの混合物にみられる。塩化ナトリウム型の結晶格子について考えてみると、陽イオンの格子点にはKがあり、陰イオンの格子点にはClとBrが不規則にある。KClとKBrは同一の結晶格子をもち、その大きさがほぼ等しいため、容易に固溶体をつくる。すなわち、互いに置換する原子の大きさがあまり異ならないことが必要である。一方、侵入型の固溶体は、溶質としての成分が室温において結晶でない水素、酸素、窒素などにみられる。このことは、侵入成分の原子が格子点にある原子に比べてかなり小さいことを意味している。鉄に入っている炭素の場合もこれに属する。
 ある固体の結晶に別の元素の原子が溶ける条件は、関係する原子の大きさ、価電子の数、結晶形などである。このように固溶にもおのずから限界があることがわかる。[吉田俊久]

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世界大百科事典内の固溶体の言及

【混晶】より

…2種類以上の物質が原子,または分子のレベルで均一な溶体となった結晶をいう。金属学では同じ意味のことが固溶体solid solutionと呼ばれ,混晶の語はおもに鉱物学で用いられてきた。まだX線構造解析が発展する以前に作られた言葉で,2種類以上の結晶の混合物,あるいは共晶などと誤解されやすいので,むしろ固溶体と統一して使うべきであろう。…

【合金】より

…2種類以上の元素の混り物である金属の総称。狭義には金属的性質を示す固溶体をいう。1種類の金属元素のみを成分とする純金属は概念としては合金と対立するものであるが,完全に純粋な金属は実在しない。…

【混晶】より

…2種類以上の物質が原子,または分子のレベルで均一な溶体となった結晶をいう。金属学では同じ意味のことが固溶体solid solutionと呼ばれ,混晶の語はおもに鉱物学で用いられてきた。まだX線構造解析が発展する以前に作られた言葉で,2種類以上の結晶の混合物,あるいは共晶などと誤解されやすいので,むしろ固溶体と統一して使うべきであろう。…

※「固溶体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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