言渡(読み)いいわたす

精選版 日本国語大辞典 「言渡」の意味・読み・例文・類語

いい‐わた・す いひ‥【言渡】

〘他サ五(四)〙
① 言い通わす。
名語記(1275)六「めをねといひわたせる歟」
伝言を伝える。間に立って口をきく。
※栄花(1028‐92頃)若ばえ「上より〈略〉とある仰事、侍の人々、あるは刀自・すましなど、いちいちにいひわたす」
命令決定した処分などを告げる。宣告する。〔ロドリゲス日本大文典(1604‐08)〕
評判記・色道大鏡(1678)三「其家にて勢(いきほひ)のある女郎に、つれて出よといひわたす事也」
謡曲で、音の高低の変わり目などに声の質をうまく変えて謡い通す。
※風曲集(1423頃)「よき声をば、声のままに、さし声より、甲の物などを云わたして」

いい‐わた・る いひ‥【言渡】

〘自ラ四〙
① 言いながら日を過ごす。言い続ける。
大和(947‐957頃)一四八「女は、男をすててはいづちか行かむ、とのみいひわたりけるを」
② 男から女に、口頭または手紙で求愛する。言い寄る。
平中(965頃)一五「ひさうしものいひわたる人、ありけり」
源氏(1001‐14頃)東屋「通ひし所なども絶えて、いとねんごろにいひわたりけり」

いい‐わたし いひ‥【言渡】

〘名〙
① 言い渡すこと。命令や決定などを当の相手に告げ知らせること。〔毛利家文書‐(天正一一年)(1583)一二月一五日・安国寺恵瓊林就長連署状〕
裁判所判決、決定などの内容当事者に口頭で告げること。
民事訴訟法(明治二三年)(1890)二三四条「判決の言渡は判決主文朗読に因り之を為す」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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