託言(読み)カゴト

デジタル大辞泉 「託言」の意味・読み・例文・類語

か‐ごと【託言】

《「かこちごと」の意》
他にかこつけていう言葉口実
「御返り、口きばかりを―にて取らす」〈夕顔
他のせいにしていう恨み言不平ぐち
「人をいたづらになしつる―負ひぬべきが」〈・夕顔〉

たく‐げん【託言】

他のものにかこつけた言葉。口実。
ことづて。伝言

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「託言」の意味・読み・例文・類語

か‐ごと【託言】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かこと」とも )
  2. 関係のないことに結びつけてそのせいにした言葉。他にかこつけて言う言葉。かこつけごと。言いがかり。口実。申しわけ。
    1. [初出の実例]「『はかなき女の上などにつけて、身をいたづらになしつること』などのたまへば、宰相『何か、さやうなるかごとにも侍らず』」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)
  3. しいて関係づけて恨み嘆く言葉。ことよせて嘆く言葉。うらみごと。愚痴。不平。かこちごと。
    1. [初出の実例]「あやしの御かごとや」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
  4. ほんのわずかであること。少し。→かごと(託言)ばかり
    1. [初出の実例]「かこと〈略〉ちとといふ事にも多よめり」(出典:八雲御抄(1242頃)四)
  5. その時だけの誓いの言葉。
    1. [初出の実例]「何なる人目の紛れにや、露のかごとを結ばれけん」(出典:太平記(14C後)四)

たく‐げん【託言】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 別のものにかこつけたことば。口実。いいぐさ。いいまえ。〔陸機文賦
  3. ことづて。伝言。
    1. [初出の実例]「女院自有託言」(出典玉葉和歌集‐安元二年(1176)六月一七日)

かこつけ‐ごと【託言】

  1. 〘 名詞 〙 何かのせいにして言う言葉。口実。いいぐさ。いいぬけ。かこつけ。
    1. [初出の実例]「便自帰るは、蓴鱸をくいたさに帰るではないぞ。只かこつけ事也」(出典:錦繍段抄(1530頃)二)

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