大手電力会社の保有する送配電網の使用料。新規の小売電気事業者(特定規模電気事業者)などが送配電網を利用する際、大手電力会社(送配電事業者)へ支払う料金である。正式名称は託送供給料金。経済産業省令である「一般電気事業託送供給約款料金算定規則」に従って算定すると規定されており、経済産業大臣の承認が必要。2万ボルト以上で配電する特別高圧、6000ボルトで配電する高圧、100ボルトと200ボルトで配電する家庭向け(低圧)の三つの料金がある。託送料金は従来、大手電力会社が送配電網で電気を運ぶために必要なコスト(電線、鉄塔、変電設備など送配電網に関連する設備の投資関係費、維持・修繕費、人件費、固定資産税など)に利益を上乗せする総括原価方式で決定していた。しかし、再生可能エネルギーの導入と電力の安定供給を両立させるため、2020年(令和2)に電気事業法を改正し、2023年4月から、大手電力会社の向こう5年間の事業計画を決め、計画実施に必要な費用を見積もって収入上限を算定し、この収入上限の範囲内で料金を柔軟に決めるレベニューキャップ制度へ移行する。レベニューキャップ制度には、経営効率化を促し、コスト低減を通じて消費者負担(電気料金)を抑制する利点があるとされている。なお、託送料金は家庭用電気料金の3~4割を占めており、電気料金は託送料金に、小売電気事業者が発電事業者へ支払う発電料と、営業経費などが加算されて決まる。
日本では2016年(平成28)4月から、家庭向けを含めた電力小売りが完全に自由化され、大手電力会社と新規電力事業者が電気料金を自由に設定できるようになった。しかし、電力の送配電網は大手10社が独占保有しているため、競争原理が働きにくく、託送料金が高止まりして電気料金が下がりにくくなるおそれがあった。このため経済産業省は託送料金の認可制度を導入。2015年9月に経済産業大臣の直属機関として電力取引監視等委員会を設け、大手電力10社の託送料金が適切かどうかを審査・査定する制度を導入した。託送料金には、2020年からは、東京電力福島第一原子力発電所事故の賠償負担金と、既存原発の廃炉費用にあてる廃炉円滑化負担金が含まれている。
[矢野 武 2022年11月17日]
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