総括原価方式(読み)ソウカツゲンカホウシキ

デジタル大辞泉の解説

そうかつげんか‐ほうしき〔ソウクワツゲンカハウシキ〕【総括原価方式】

事業が効率的に行われた場合に要する総費用に適正な事業報酬(利潤)を加えた総括原価が総収入と見合うように料金を設定すること。公共料金の典型的な料金設定方法。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

総括原価方式
そうかつげんかほうしき

商品やサービスを提供する原価に資金調達コスト、適正利潤(適正な事業報酬)を上乗せして公共料金を決定する方式。電力料金、ガス料金、水道料金、鉄道運賃などの設定で採用されている。そのほか、防衛省が特定企業から防衛装備を調達する際などにも同じ考え方による計算を行っている。この方式は複数企業による競争が行われにくく、単一、もしくは少数の企業が独占的に公共サービスを提供している場合に採用される。自由に価格を設定できるようにしておくと、独占事業体が過大な利潤を得ようとして高額な料金を設定し、消費者が不利益を被る可能性があるためである。事業者にとっても、適正利潤を得られることを前提としているため、老朽化したインフラの修繕など長期的な設備投資を計画できるメリットがある。一方で、効率化など原価削減を進めるインセンティブ(誘因)が働きにくいこと、過剰な設備投資をまねくおそれがあることなどのデメリットがある。そのため、料金上限方式(プライス・キャップ方式)や、複数企業の原価構造を精査して基準となる料金を定めるヤードスティック方式なども使われている。

 なお、電力料金について、他国と比較して高い原因の一つとして総括原価方式があげられており、2011年(平成23)3月の福島第一原子力発電所事故の影響で、電力料金の値上げが決められたときに、総括原価方式の見直しを求める意見があった。

[編集部]

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