日本大百科全書(ニッポニカ) 「評弾」の意味・わかりやすい解説
評弾
ひょうだん / ピンタン
中国の江蘇(こうそ)省南部と浙江(せっこう)省北部の呉(ご)語方言地域の説唱芸能で、評話(ひょうわ)(ピンホワ)と弾詞(だんし)(タンツ)との合称。評話は語りが主で、一人称は説書人、三人称は作中人物と使い分け、説書人の喜怒哀楽と作中人物の動作もしぐさのうえで分けられている。評話の伝統演目は『三国志』『金槍(きんそう)伝』『岳飛(がくひ)伝』『英烈(えいれつ)伝』などの歴史物語、『水滸(すいこ)伝』『七侠五義(しちきょうごぎ)』などの英雄好漢の物語、あるいは『封神榜(ほうしんぼう)』『済公(せいこう)伝』などの神仙妖術(ようじゅつ)の物語などがあり、連続で語られることが多い。弾詞は三弦、琵琶(びわ)を主楽器とする弾き語りで、1人、あるいは2人、3人の掛け合いでも謡われ、連続で演じられることもある。長編では『白蛇(はくじゃ)伝』『玉蜻蜓(ぎょくせいてい)』『珍珠塔(ちんじゅとう)』などがあり、世話物が多い。いずれも蘇州語で演じられる。評話と弾詞で一つの団(評弾団)を形成し、公演を行うことが多い。
[尾上兼英]