詳細釣合いの原理(読み)しょうさいつりあいのげんり(英語表記)principle of detailed balancing

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「詳細釣合いの原理」の意味・わかりやすい解説

詳細釣合いの原理
しょうさいつりあいのげんり
principle of detailed balancing

粒子系のエネルギーが等しい2つの状態を ifとし,それぞれの状態ですべての粒子の速度を逆にした系の状態を i′,f′とすると,ある時間内に系が状態 iから f遷移する確率と,同じ時間の間に系が状態 f′から i′に遷移する確率とが等しいという原理物理学の基本法則が時間反転に関し不変なことから証明される。統計力学では,系が熱浴に接しているとき,状態 i から状態 f への単位時間あたりの遷移確率Wif ,またこの逆過程の遷移確率を Wfi とし,また系が状態 if に見出される確率をそれぞれ PiPf とすると詳細釣合いの条件は PiWifPfWfi となる。この条件は系が熱平衡であることを保証している。

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化学辞典 第2版 「詳細釣合いの原理」の解説

詳細釣合いの原理
ショウサイツリアイノゲンリ
principle of detailed balancing

気体分子は,互い衝突によってまったく不規則な方向および大きさの速度vをもって運動している.単位体積当たり速度範囲(v,v + dv)の間にある分子数をf(v)dvとおいて,速度分布関数f(v)を導入する.この関数f(v)の時間変化は,衝突によって速度範囲(v,v + dv)に入ってくる分子の数と,その範囲から出ていくものの数との差で与えられる.したがって,両者の差が0のとき,分布関数は平衡を保つ.これを詳細釣合いの原理という.この原理は気体が熱平衡状態(f(v)はマクスウェル-ボルツマン分布)にあるための必要十分条件である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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