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遷移確率 せんいかくりつ transition probability

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

遷移確率
せんいかくりつ
transition probability

量子力学系が摂動によって一つの定常状態から別の定常状態へ遷移する確率。摂動ハミルトニアン H ' によって始状態 a から終状態 b へ遷移するとき,H ' の行列要素を 〈bH '|a〉 とすると,単位時間あたりの遷移確率は 4π2/h|〈bH '|a〉|2ρ (ρは終状態の密度) で与えられる。

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世界大百科事典 第2版の解説

せんいかくりつ【遷移確率 transition probability】

量子力学的な系が一つの定常状態から他の定常状態に移る確率。一例として原子による光の吸収を考えてみる。光がないとき原子は量子力学的に許される状態の一つ(ふつうは最低のエネルギーをもつ基底状態)にある。これらの状態は時間が経過しても変化しないので定常状態と呼ばれる。原子に光をあてると,原子は光を吸収して別の(少しエネルギーの高い)定常状態に移ることが可能になる。このような過程の起こる頻度を表すのが遷移確率である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

遷移確率
せんいかくりつ

量子的状態が他の量子的状態に移っていく確率のことで、転移確率ともいう。たとえばエネルギーの高い状態にある原子は原子内電子が電磁場相互作用し、その結果エネルギーの低い状態に移っていく。この場合の単位時間当りの遷移確率は、電子と電磁場の相互作用を与える演算子の、前後の電子の状態abに関する行列要素をhab、放射される光の状態も考慮したあとの状態の数をρとすれば(2π/)|hab|2ρで与えられる。ただし、=h/2π(hはプランク定数)。遷移前後でエネルギーが保存されない場合のこの確率はゼロとなる。
 一般に量子的状態aが状態の遷移を引き起こす作用によって他の定常状態bに遷移していく場合も遷移確率というが、遷移確率はかならずしも作用の行列要素の絶対値の2乗に比例するとは限らない。先にあげた原子内電子の例は、この作用に与える電子と電磁場の相互作用が弱いためである。[田中 一]

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世界大百科事典内の遷移確率の言及

【量子力学】より

…ここで原子の角運動量が離散的な方向のみをとること(方向量子化)が見いだされ,一方では座標軸は任意の方向に設定できるので,理論はパラドックスに逢着したことになる。原子原子スペクトル
[遷移確率]
 アインシュタインは原子における一つの定常状態から別の定常状態への電子の遷移は確率的におこるとし,その確率を電子に当たる光の強度に比例する部分(誘導遷移)と光なしでも残る部分(自発遷移)に分けた(1916‐17)。ここで,古典統計力学で用いられてきた人間の無知の表現としての確率でなく,内在的な確率が物理学に導入された。…

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