国語学書。1巻。賀茂真淵(かもまぶち)著。1759年(宝暦9)ごろ初稿が成立、89年(寛政1)に刊行された。真淵の古語に関する考え方を述べたもので、国語は五十聯音(いつらのこえ)(五十音図)に基づく少ない音節によって語が構成され、他国語に比べてより優れているとする。また、五十音図の「あいうえお」の各段を、初めの音(こえ)、体音(うごかぬこえ)、用音(うごくこえ)、令音(おうするこえ)、助音(たすくるこえ)とよび、動詞の活用を五段で説明しようとした。その体系的説明は、まま無理な点もあるが、国語学史上注目される。語義の説明では、約言(つづめこと)、延言(のべこと)、転回通(うつしめぐらしかよう)、略言(はぶくこと)の四つをあげる。これらは真淵以前から使われていた用語であるが、これを実証的に駆使して、村田春海(はるみ)、平田篤胤(あつたね)など後世の国学者に大きな影響を与えた。
[沖森卓也]
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